引退した陰の主将・廣瀬俊朗が語る
「日本ラグビーに必要なもの」

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text&photo by Saito Kenji

廣瀬俊朗インタビュー@後編

 北野高校、慶応義塾大学、東芝ブレイブルーパス、そして日本代表と、各カテゴリーでキャプテンを務めてきた廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)。30年間の現役生活にピリオドを打った今、彼はどんなビジョンを描いているのか。ジャージを脱いだ廣瀬氏に「日本ラグビーの未来」について聞いた。

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廣瀬俊朗は引退後のビジョンについても大いに語ってくれた廣瀬俊朗は引退後のビジョンについても大いに語ってくれた――初めてラグビーワールドカップに参加して、何を感じましたか?

廣瀬俊朗(以下:廣瀬) ラグビーワールドカップは1日中楽しめるイベントで、「スポーツは改めて素晴らしい」と感じました。観客が楽しんでくれれば、また来てくれるようになります。日本ラグビーはまだまだ考えないといけないこと、やらなければいけないことがありますが、「夢と現実のバランス」も考慮しないといけない。そうしないと、何もできない、夢物語になってしまいます。

――そんな印象を抱いた今、引退後はまず何をやりたいと思っていますか?

廣瀬 「ラグビーの選手会」を立ち上げることですね。まだ選手のなかでも温度差がありますが、日本ラグビーのためにやるから、僕たちを信じてほしいと伝えています。2019年に日本で開催されるワールドカップまで時間はあるようでないから、できる限り早く立ち上げて、ラグビーの普及や選手の環境改善などに取り組んでいきたいです。

――具体的に「選手会を立ち上げたい」と思ったきっかけは何ですか?

廣瀬 昨年6月、選手たちがスーパーラグビーの日本チーム(サンウルブズ)と契約することになったことが一番の要因です。日本ラグビー協会も初めての経験だったので、「どういう過程でチームを作るか」という過程がうまくいっていなかった。そのしわ寄せが選手たちにきて、契約状況が良くないままでもサインをしてくれ、と言われてもできませんでした。選手は契約に関して素人だし、日本代表の合宿にも集中したかった。そのときに選手会があれば、契約のことを任すことができたけど、当時はなかったので、IRPA(International Rugby Players Association/ラグビー国際選手協会)にお願いしました。

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