香港に快勝。ラグビー日本代表、W杯に向けて「1%」成長 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 築田 純●写真 photo by Tsukida Jun

 特によかったのは、ターンオーバー(敵ボール奪取)したあとのリアクションだった。後半8分だ。中盤でFWの伊藤鐘史、ヘイデン・ホップグッドのダブルタックルでボールを奪取し、ポイントから素早く左に回す。

 センター田村優が前に持ち出し、スーッと上がってきたライン際のウイング山田章仁に長めのパスをつないだ。山田が快足を飛ばし、左隅に飛び込んだ。いい反応、いい連係プレーだった。山田は「うれしいですね」と満足そうだった。

「ああいうパスはお互いを信じないと通らないパスだと思っていますから。田村のスキルは分かっていたし、彼ならしっかり放ってくれるという理解はあった。うまくコミュニケーションがとれたかなと思います」

 この時期、だれもが日本代表の"生き残り"に必死である。山田は南半球のスーパーラグビー挑戦から一時帰国し、この試合に急きょ出場した。アグレッシブなプレーでスタンドを沸かせた。

 W杯のウイング枠は3人の予定で、いずれ候補6人から半分が落ちることになる。29歳の山田は経験を積み、安定感を増している。

「僕はワールドカップで活躍できるプレーを頭において、ずっとトレーニングしています。周りとコミュニケーションを細かくとっていきたい。やらないといけないことはいっぱいあります」

 結局、7トライの猛攻で41-0と圧勝し、通算2勝0敗とした。実力差を考えて、香港が相手なら、スクラム、ラインアウトをちゃんと組んで、早いテンポで回せばトライは獲れる。むしろ韓国戦(4月18日、56-30で勝利)から改善されたのは、ディフェンスだった。インサイドブレイク(内側を突破されること)を許さず、激しいタックルで相手を倒し切っていた。無失点は評価してもいい。

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