石川佳純が語るパリ五輪「打倒・中国」に必要なこと 自身はキャスターとして「選手たちの本音を引き出したい」 (3ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【大事なのは自分を信じて戦うこと】

ーー張本選手は五輪初出場、平野選手は2度目ですが、経験の有無でプレッシャーのかかり具合がまったく異なると思います。どちらも経験された石川さんは、どのようにメンタルをコントロールしていたのでしょうか?

 初出場の場合、やはりコートに立ってみないとわからない部分が多いので、どれだけイメージしようとしてもできません。緊張やプレッシャーは必ずあると思います。

 なので張本選手には、初出場ならではの勢いを大切にしてほしいですね。若いのでなおさらです。私自身も、初めて出場した2012年ロンドン五輪でそう感じましたから。

 張本選手はそれができる選手です。それに勢いを前面に出して戦うことで、チームも乗ってくる。逆に相手にとっては一番嫌な戦い方じゃないかなと。いろんなことを考えすぎず、今持っている実力を全力でぶつけていけば、自ずといい流れに持ち込めるはずです。

 五輪出場が2度目の平野選手は、経験がある分、どういう感じなのかがだいたいイメージできると思います。ただ、前回大会は無観客で行なわれたじゃないですか。観客が入った五輪って、本当に、めちゃくちゃ盛り上がるんですよ! 地元の選手がプレーしている時は、応援がすごすぎてボールの音が聞こえなかったりしますし。

 なので雰囲気はだいぶ違うと思いますけど、とにかく落ち着いてやること、五輪ならではの大歓声をできるだけイメージしておくことを心がければ、試合に入っていきやすいんじゃないかと思います。

ーーパリ五輪は、石川さんにとっては引退されてから迎える初の五輪になります。ご自身にとってはどんな大会になると想像していますか?

 正直、取材する側として五輪に行けるなんて思っていなかったので、あまり想像はできていませんでした。でも本当に貴重な機会ですし、すごく楽しみにしています。

 私も現役選手だったころはそうでしたが、五輪ってアスリートにとっては特別な舞台だと思うんですよ。インタビューする際には、そこに対する本音を、日本代表の選手たちから少しでも引き出せたらいいなと思っています。

ーー最後に、パリの地で戦うアスリートに向けてメッセージをお願いします。

 大事なのは、自分を信じることです。自分を信じて戦うことが、実力を発揮するための一番のカギとなります。結果は自分の力を出したあとについてくるものだと思うので、みなさん精一杯、全力で、悔いのないようにプレーしてほしいなと思います。

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前編<石川佳純が平野美宇&張本美和にインタビュー「リフレッシュ方法は?」「パリ五輪へのイメージは?」>を読む

【プロフィール】
石川佳純 いしかわ・かすみ 
1993年、山口県生まれ。全日本卓球選手権女子シングルスで5回優勝。過去3度の五輪(ロンドン・リオ・東京)に出場し、女子団体のメダルを獲得(銀・銅・銀)。2021年の東京五輪では日本代表選手団副主将を務めた。2023年に現役引退を発表し、現在は全国の子どもたちに卓球の魅力を伝える「石川佳純47都道府県サンクスツアー」やスポーツキャスターとして幅広く活躍中。

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