平野早矢香が考える打倒・中国の戦術 早田ひなのダブルス起用、「異質ラバー」を使う伏兵対策も必要 (2ページ目)

  • 高樹ミナ●文 text by Takagi Mina

――仮に早田選手がダブルスで出るとしたら、平野選手か張本選手のどちらかがシングルス2点起用になりますね。

「世界選手権でのプレーを見ると、パリ五輪までの期間も順調に強化できれば、平野選手がシングルス2点でいいのではないかと思います。確率でいうと、団体の中のシングルス4試合のうち3試合勝つのは難しい。相手が中国ならなおさらです。

 正直、誰が2点シングルスで出るかよりも、とにかくダブルスを絶対に取るという視点で考え、強化やオーダーを考えていくほうが勝算はあるんじゃないかと思います。今後の平野選手と張本選手のペアリングの完成度も見つつですが、特に対中国戦では、まずダブルスで勝負をかけてほしいですね」

――ただ、中国以外にもインドのような"伏兵" もいます。世界選手権団体釜山大会の予選グループリーグでは、中国が大苦戦していました。

「そうでしたね。インドの選手の多くは『アンチ』や『粒高』と呼ばれる特殊なラバーを使っていて、こちらの打ったボールが通常とは逆の回転になって返ってきたり、回転をかければかけるほど回転が残って複雑になるといった要素があります。日本でもそのラバーを使っている選手が少なく、球質に慣れていないので戦いにくいはず。だから試合をする際は、いつもとはまったく違う戦術で戦ったり、試合の中で相手の球質に対応しなくてはいけません」

――3月の海外ツアーWTTシンガポールスマッシュでは平野選手と張本選手のペアが、女子ダブルス1回戦でインドのペアにフルゲームで敗れました。インドペアは、アイヒカ・ムカルジー選手が「フォア面が表ソフトラバーでバック面がアンチラバー」、スティルタ・ムカルジー選手は「フォア面が表ソフトラバーでバック面が裏ソフトラバー」という異質のラバー同士でした。

「本当にやりにくそうにしていましたね。でも、異質のラバーを嫌がっていると相手の型にはまってしまうこともあるので逃げてはいけません。

 今年の世界選手権でも、平野選手が予選グループリーグ第2戦で、バック面に粒高系のラバーを貼ったイランのマフシッド・アシュタリ選手にフルゲームの大激戦で辛勝しました。アシュタリ選手は、フォア面には多くの選手が使っている裏ソフトラバーを貼っていたのですが、試合の後半で平野選手は慣れない粒高を避け、フォア側にボールを送る戦術をとり、平野選手の忍耐力と実力の高さで勝利しました。

 しかし、異質のラバーを使う選手は、相手が異質ラバーを嫌がり逃げることを想定してカウンターをしてくる選手が多いので、私は『異質を潰す』という気持ちと対策が必要だと思います」

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