「本気の中国」を圧倒した平野美宇の新たな武器を平野早矢香が絶賛 張本美和は「もうワンランク上がる」 (2ページ目)

  • 高樹ミナ●文 text by Takagi Mina

――平野選手が技術面でよくなった点はどこだと思いますか?

「一番は『打球の緩急』ですね。以前はスピードを全面に出した卓球で『ハリケーン』とも呼ばれていましたけど、つなぐボールと攻めるボールの見極めや、回転量のコントロールなどがよくなっていると思います。

 たとえば、スピードはゆっくりだけどボールの回転量が多かったり軌道が低かったり、コートの深いところを狙うといったように、スピード、コース、回転量だけではなく、それらの組み合わせで1球1球の質が高くなりました。相手は平野選手の速いボールを待っていることが多いでしょうから、そこにゆっくりなボールを送ると、相手はなかなか強く打ち返せません。その落差が、相手からするとやりにくかったと思います」

――サーブからの展開でも主導権を握っていましたね。

「サーブも、これまでと少し違いましたね。平野選手はもともと『巻き込みサーブ』が主体で、そこにちょっと縦回転や順回転を入れる感じでしたが、今回の世界選手権では相手や状況に応じて、順回転のサーブを多めに使っていました。巻き込みサーブは軌道が低く、長いサーブは相手の手元でぐっと伸びていましたね。世界選手権の会場での直前練習を見せてもらった時も、しっかり意識してサーブ練習をしているように見えましたが、本番でも使い方がすごくよかった。これは本人がインタビューでコメントしていたことですが、男子選手の卓球をすごく参考にしているようです」

――どんなところを取り入れているのでしょうか?

「パワーやスピードではなく、攻めの速さ。自分がサーブを打つ時の3球目、レシーブの時の4球目での攻撃です。男子選手の場合、パワーのある選手に一発で打たれると、いくら強い選手でも全部はブロックできません。なので、よりサーブ3球目やレシーブ4球目の質を意識しています。ただ、今の女子選手も、ラリー戦になってからではなく早い段階での仕掛けがすごく重要になっているので、平野選手はその部分で男子選手の卓球を参考にしているのだと思います」

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