早田ひなを破った張本美和がパリ五輪の団体戦メンバー候補に浮上? 全日本選手権で「逆転選出」を引き寄せるか (3ページ目)

  • 井本佳孝 取材・文 text byImoto Yoshitaka

 今大会で目立ったのは、張本のオールラウンドな能力だ。兄の智和も得意とするバックハンド、フォアに回り込んでのドライブや巧みなツッツキ、長短織り交ぜたサービスなど技術的に大きな穴は見られない。また、伊藤や早田戦の勝因について張本本人が「戦術面」を挙げたように、相手の状況を見ながら高いスキルを駆使できるゲームメイク能力も兼備する。

 今季の張本は、国際大会で多くのトップ選手と戦ったことで経験値も向上。世界トップ10以上の早田や伊藤に対して、台上ラリーでも互角以上に打ち合うなどポテンシャルの高さを十分に見せつけた。

 張本は選考ポイントランキングで100ポイントを加算し、330.5点で5位に浮上した。実質、パリ五輪シングルスの2番手は平野と伊藤による争いだが、張本は国際大会での活躍もあり、12月1日発表の世界ランキングでは早田(5位)、伊藤(10位)に続く14位につけている。同ランキングでは平野(17位)を上回るだけに、強化本部推薦枠として選出される団体戦メンバーへの「逆転選出」の可能性を期待する声も聞こえてくるようになった。

 張本はパリ五輪選出について、「順当にいけば平野選手か伊藤選手」と、3番手での選出は意識していないことを語った。ただ、来年1月の全日本選手権でも優勝争いに絡むインパクトを残せば、パリ五輪行きへの期待はさらに高まるだろう。

 長きにわたって続いてきたパリ五輪の選考レースも、残る対象大会はあとひとつ。平野がリードを保ったまま五輪シングルス初出場を決めるのか。五輪3大会連続でのメダル獲得も期待される伊藤が大逆転を果たすのか。加えて、張本の躍進によって「3番手争い」も新たな焦点となってきた。パリ行きをかけたサバイバルが、いよいよクライマックスを迎える。

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