早田ひなを破った張本美和がパリ五輪の団体戦メンバー候補に浮上? 全日本選手権で「逆転選出」を引き寄せるか (2ページ目)

  • 井本佳孝 取材・文 text byImoto Yoshitaka

【平野と伊藤の勝敗を分けたもの】

 その結果、勝ち上がれば準決勝で対戦する予定だった2人が、順位決定戦で戦うというまさかの展開に。初日で3試合を戦うことになったが、平野が意地の4ゲーム連取でストレート勝ち。「選考会で一番成長したのは気持ち」という平野の言葉通り、伊藤との試合では大きな声を上げるシーンも。準々決勝で敗れたショックを引きずらず、初の五輪シングルス出場へ執念を見せた。

 一方の伊藤は、「(前の試合までに力を)出し切った後だったのでヘトヘトだった。『たぶん勝てないだろうな』という状態で試合に入ってしまった」と振り返った。翌日の7-8位決定戦では勝利したが、「リオや東京より相当厳しい。早田選手が飛び抜けている現状で、(周りの選手は)私を倒せばいい。プレッシャーはある」と、選考レースの厳しさを語った。

 5-6位決定戦に臨んだ平野は敗れ、6位で大会を終えた。11月27日に発表された最新の選考ポイントランキングでは、平野が50ポイントを加算して486点、伊藤が40ポイントを加算して451.5点と「34.5点」差に。伊藤には「WTT女子ファイナルズ名古屋」で中国トップ3選手に勝利してポイントを重ねる手もあるが、最終決着は全日本選手権になる。

同大会は優勝者には120点、2位には100点、ベスト4進出者には80点と上位に高ポイントが加算される。平野と伊藤は、東京体育館で最後の大勝負に挑む。

【優勝の張本を「五輪メンバー3番手」に推す声も】

 波乱の第6回パリ五輪代表選考会を制したのは、15歳の張本だった。準々決勝で伊藤、準決勝で長﨑を下し、決勝では早田と対戦。それまで早田とは8回戦って全敗。張本自身も今大会に向けて「対戦した中で唯一勝ててなかった存在。早田選手と当たるまでは負けないように」と意識していた試合は拮抗した。

 2ー2で迎えた第5ゲームを、張本がデュースでモノにすると、そのまま第6ゲームも奪取。悲願の"早田超え"と選考会初優勝を成し遂げた。

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