水谷隼の「なかなかマネできない」筋力の調整力に驚き。明治大ダブルスのふたりは「ラリーに持ち込んだら絶対に負けない」 (2ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by Nikku/Xinhua

戸上 僕としても、より宇田のプレースタイルを知れました。以前は"個"のプレーが多く、ダブルスなのにどこか噛み合わなくて、勝てるはずの相手にも勝てない時期が続いていた。でも最近は、お互いに先を読んだプレーができているので、連携している感じがすごく出てきました。僕らは"点数を取れるペア"なので、「ラリーに持ち込んだら絶対に負けない」という自信があります。振り返ると、「ラリーまでどう持っていくか」をずっと話し合っていた1年でした。

【コロナ禍で芽生えた"自覚"】

――ペアで一緒に過ごす時間が長いと、どこかギクシャクしたり、感情を相手にぶつけてしまったり、ということは起きないのでしょうか。

宇田 それはないですね。相手に寄り添う、受け入れることだけ考えているので、戸上がミスしても「なんで」と思うことはありません。ミスも割り切って、作戦を立てるのが僕らのスタイル。もちろんそれぞれの考えはありますが、意見がぶつかることはないですね。

――戸上選手、それで間違いないですか?

戸上 ......間違いないですね(笑)。

宇田 何かあるんですか(笑)?

戸上 いやいや、宇田が言った通りです。ぶつかり合いではなく、相手の意見を尊重しながら話し合っています。本当にパートナーとして信頼しているので、揉めたり、怒ったりしたことも、されたこともありませんよ。

――よかったです(笑)。ちなみに、ダブルスでの飛躍のきっかけとなった試合を挙げるとしたら?

宇田 アジア選手権の前に開催された、WTTスターコンテンダードーハ大会の男子ダブルス準決勝で、安宰賢(アン・ジェヒョン)/趙勝敏(チョ・スンミン)の韓国ペアに負けたんですけど、これが昨シーズンでもっとも学びが多い試合でしたね。先ほどお話ししたように、お互いにシングルスのように個の力で戦ってしまっていたのが、「しっかりダブルスをしないといけないんだな」と気づかされました。

戸上 WTTの大会やアジア選手権に出場していた頃は、僕らのなかに"自覚"が芽生えた時期でもありました。コロナ禍の影響で大会が中止になり、結果を出したくても出せず、2024年のパリ五輪を見据えた時にものすごく危機感があったんです。だから1試合、ひとつの大会を大事にして、少ないチャンスで結果を出さないといけない。そういう自覚が出てきたんです。

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