ハンドボール日本代表・土井レミイ杏利が人種差別を経験して気づいたこと (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO SPORT

 以前は、この1点を決めれば勝てるという場面で、自分でいくのではなく他人任せにしていた。失敗を怖がり、守りに入っていた。しかし今は、自分が点を取ってチームの勝利に貢献するという強い気持ちでプレーできるようになった。

「まだ浮き沈みはあるけど、そういう強いメンタルを持って試合ができるようになった。これは大きな成長だと思います」

 それが結果となって表われたのが、今年1月、エジプトで開催された世界選手権だ。日本はグループリーグで欧州選手権2位のクロアチアに引き分けるなど、1勝1敗1分で24年ぶりにメインラウンドに進出。

 メインラウンドではアルゼンチン、デンマークに敗れたが、バーレーンに勝利。決勝ラウンド進出はならなかったが、19位と健闘した。1年前の世界選手権はグループリーグ5戦全敗で最下位(24位)に終わったことを考えれば、成長は明らかだった。

「僕自身にとって五輪は子どもの頃からの夢ですし、もう待ち遠しくてしょうがない。日本のハンドボール界にとっても(東京五輪は)大きな分岐点になると思うので結果を残したい。今はそれしか考えていません」

 東京五輪は土井を筆頭に、選手たちがここまで培ってきた技術、メンタルが問われる戦いになる。勝負は時の運だが、東京五輪ではそれを武器に戦う気持ちを全面に押し出した熱い試合を見せ、多くの人の心を揺さぶってくれるはずだ。

FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES

毎週日曜日 15:30〜16:00

スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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