「諸刃の剣」比江島慎が日本を救う 「神がかった」プレーに渡邊雄太は「これくらいできて当然」だから「いつもやってくれ、マコ!」 (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【河村は「マコさんの普通のプレーが今日出ただけ」】

「彼のペイント内へのドライブは、自分が知るどんな選手とも違っています。彼はスピンができますし、フットワークもあって、そしてそのどれもが人とは少し違うんです。

 時にターンオーバーもしてしまいますが、そこはしょうがないこと。今夜(ベネズエラ戦)のようなプレーが彼にはできますし、我々を救ってくれました。彼のように3Pでもペイント内からでも得点できる選手は、それほど多くはありません」(ホ―バスHC)

 ワールドカップ・アジア地区予選の期間中、日本チームの面々が一緒に食事に出かけたことがある。年齢がチームで下のほうの河村は、自身がいじられることもあるが「マコさんも最年長でいじられている」として笑わせた。

 河村は代表活動を通して、比江島の「爆発力」や「安定感」を見てきただけに、渡邊と同様にベネズエラ戦でのパフォーマンスに度肝を抜かれるほどの驚きを覚えたわけではなかった。

「この試合に限らず、マコさんの得点力の爆発力やプレーでの安定感はチームの誰しもが知っているので、それが出ただけかなっていう。本当に特別なことではなくて、マコさん自身の普通のプレーが今日出ただけかなって思っているので、すごいびっくりした感じはないです。

 けど、やっぱり僕たち以上にこのワールドカップにかける思いっていうのはあるでしょうから、そういった気持ちも出たプレーだったかなと思います」

 予選ラウンドで「死の組」と呼ばれた厳しいグループに組み込まれた日本だが、ベネズエラ戦の勝利で目標の五輪切符に手をかけた。9月2日のカーボベルデ(世界ランク64位)との試合に勝利すれば、パリ行きが決まる。

 比江島は今大会ここまで平均11得点をマーク。3Pシュートは66.7%(12分の8)という高確率で決めている。フィンランド戦では活躍も、その次のオーストラリア戦では精彩を欠き、そしてベネズエラ戦では再び輝いた。カーボベルデ戦では果たして、どちらの比江島が出るのだろうか。

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