「諸刃の剣」比江島慎が日本を救う 「神がかった」プレーに渡邊雄太は「これくらいできて当然」だから「いつもやってくれ、マコ!」 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【比江島には「試合の大局や流れを読む力」がある】

「今までの悔しい経験とか絶対、今日の試合に生きたと思います。悔しい思いを経験してきた選手たちが、馬場にしろ、雄太にしろ、富樫にしろ、引っ張って、掴み取った勝利だと思うので。もちろん、若い選手の力も加わって勝てた。経験をしっかり出せたと思います」

 取材エリアで多くの報道陣からマイクやカメラ、ボイスレコーダーを向けられた比江島は、そのように語った。

 ベネズエラ戦の直後、比江島は盛大な祝福を受けた。だが、渡邊雄太(SF/フェニックス・サンズ)や富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)ら前の世界大会からともに比江島と戦ってきた仲間たちは「これくらいできて当然だ」と、笑顔を弾けさせつつ話している。

「彼を本当に止められる選手って世界でもなかなかいないと、僕はずっと言い続けているんで。正直、彼のBリーグのスタッツに僕はぜんぜん納得してないんですけど。

 オーストラリアに行ったりサマーリーグでも、彼が本来の力をちゃんと出せれば、ああいう大変なリーグのなかでもやっていける力は十分にマコは持っていると思います。今日は別に、僕からしたら何のサプライズもないというか、あれが、僕が知っている比江島慎ですし、いつもやってほしいなっていう感じです」

 皆に聞いてほしい、とでもいわんばかりの大きな声を、渡邊は響かせた。

 ワールドカップ開幕を数週間後に控えた7月末。選考争いが激化するなかで比江島は「今までにないプレッシャーやストレスを感じています」と述べながら、自身が「当落線上にいる」という認識でいた。

 だが、ホーバスHCのなかで比江島は、あるいは欠かせないピースだったのかもしれない。ベネズエラ戦のあと、ホーバスHCは「比江島には試合の大局や流れを読む力がある」とコメントしている。

 比江島の得意なドライブがフィジカルな相手に対してうまくいかないこともあるため、ホーバスHCは「諸刃の剣」だと語る。だが一方で、その技量が特別であるために、それを「目をつぶらないといけない」ところだとも述べた。

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