渡邊雄太が「最悪な試合。日本代表として恥」と怒りを露にした大敗から4年...代表引退を賭けてW杯に挑む (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【富樫勇樹が知る渡邊の想い】

 そんな河村にとっても、渡邊の覚悟の言葉には身が引き締まる思いにさせられたという。

「賭けているものが本当にすごいんだなと思いましたし、それを聞いて僕が今、このチームのメンバーでいることの大変さや覚悟をさらに持たないといけないと感じました。

 生半可な練習をしているわけではないですけど、結果を絶対に出さないといけないという緊張感を持たないといけないと思いました。NBA選手で一番経験のある選手からそういった覚悟のある言葉を聞いて、僕たちは絶対についていきたいなと思いましたね」

 チームメイトたちは渡邊の代表引退の言葉だけでなく、彼の練習に臨む集中力やひとつひとつプレーに対するアプローチを見て「違い」を感じ、同様に刺激を受けている様子だ。

 先月28日から渡邊が代表に合流したことで、須田は「空気が変わった」「雰囲気が締まる」と述べた。生き馬の目を抜く争いが日常茶飯事であるNBAで5シーズン戦ってきた渡邊の練習ぶりなどを、須田は個人的にも注視しているという。

「たとえば練習前のシューティングでは、どういうことをしているのかなとか。練習中の姿勢もアグレッシブですし、プレー、勝敗、リバウンド、シュートと、練習の中のひとつひとつにこだわっていますね」

 渡邊の代表引退についての発言は、少なからず周囲に衝撃を与えた。だが、彼に近しい富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)は渡邊の代表への思いの大きさを知っているだけに、虚を突かれたほどではなかった様子だ。

 今回のワールドカップには八村が辞退を表明し、渡邊には「唯一のNBA選手」として高まる期待と重圧が否が応でものしかかってくる。富樫は「自分が何を言っても彼の悲壮な覚悟は変えられないだろう」と言うが、せめて結果を残さなければならない責任を渡邊だけに担わせるのではなく、全員で持たねばならないと強調する。

「この大会は、本当に結果を残さなきゃダメな大会。出場していい経験になれば......というだけではダメだと思っているので、僕も同じ気持ちで臨みたいと思います」

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る