渡邊雄太が「最悪な試合。日本代表として恥」と怒りを露にした大敗から4年...代表引退を賭けてW杯に挑む (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【これが最後となる大舞台?】

 そのなかで渡邊が、怒りに近い感情を露(あらわ)にした試合があった。それは順位決定ラウンドでのニュージーランド戦。大会前の強化試合では勝利もしていた相手に、日本は30点という大差で破れた。

「本当に最悪な試合。ひとりとしてちゃんと準備ができていなかったし、自分も役割をまっとうできていませんでした。最後は遊ばれていたし、日本代表として恥だと思います」

 東京オリンピックが終わり、トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)体制で臨んだ昨夏のアジアカップ。彼が出場しなくてもまったく問題視されなかっただろうが、長く厳しいNBAのシーズンを戦い終えた渡邊は、次年度の所属先が不透明ながらこの大会にも参加している。

 渡邊はしかし、あらためて代表への参加は自身の責任であるといった、毅然とした口調でこう述べている。

「代表に合流することにしたのは、今年の夏も代表選手として活動したい気持ちが強かったですし、7月というタイミングは自分にとってもいいタイミングじゃないかと思ったのが一番です。リーダーとして、また国際大会を今まで何度か経験している者として、若い選手たちに今まで学んできたものを伝えていくのは、すごく大きな役割になってくると感じたからです」

 あれから1年──。渡邊が再び赤い「JAPAN」のユニフォームをまとった。彼の言葉を額面どおりに受け取るならば、あるいはこれが最後になるかもしれない舞台に立つ。

 世界を見渡すと、たとえばスロベニアのルカ・ドンチッチ(PG/ダラス・マーベリックス)やギリシャのヤニス・アデトクンボ(PF/ミルウォーキー・バックス)といったスーパースターたちは、NBAのシーズンが終わると必ずといっていいほど国に戻って代表活動に加わる。オフだから体を休めて次のシーズンに備えてもいい、にもかかわらずだ。

「代表でプレーするということは、基本的には夏を犠牲にしなくてはいけないということ。そりゃあ僕だって練習場じゃなくて、たまにはビーチに行きたくもなるけど、代表での時間をすごく楽しんでいるし、国を代表することはとても名誉なことさ」

 ワールドカップのヨーロッパ地区予選やヨーロッパ選手権のあった昨夏を終えて、ほとんど休む暇もなくNBAの新シーズンに入ることになったドンチッチは、会見でそのように語っている。渡邊も似たような思いでいるはずだ。

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