井上雄彦×渡邊雄太スペシャル対談03「日本のバスケで体格の小さいほうが大きいほうを倒す。多くの日本人の共感を呼ぶ気がする」 (3ページ目)

  • 伊藤 亮●取材・文 text by Ito Ryo
  • 細野晋司●撮影 photo by Hosono Shinji

井上 サッカーなどはJリーグができて、日本が強くなっていって、いろんな選手が海外で活躍して。今や海外で活躍する日本人サッカー選手がたくさんいる。

 でも、これはあくまで僕の個人的な印象であって、事実かどうかはわからないですけど、サッカーのファンの人ってけっこう厳しいことを言う。一方で今の日本のバスケットは渡邊雄太、八村塁がNBAで同時に試合に出て活躍していて、「これ以上、何を言う?」と思ってしまう。

 想像以上に進化していて、感情がついていかない。現実に起きていることを咀嚼できないというか。だから、ひたすら応援するという感覚。

渡邊 でも、日本でバスケにまだサッカーや野球ほどの熱がないのは、僕ら(日本代表)が勝ててないのが一番の原因だと思っているので。今回のワールドカップで勝って一気にバスケ熱に火がつくのか、それとも停滞してしまうのか。どうなるのかという責任も、僕としてはあると思っています。

【トムのバスケットっておもしろい】

 日本におけるバスケットボール人気の盛り上がりを追い風に、8月25日からは2023 FIBA Basketball World Cupが開幕する。日本はフィリピン、インドネシアとともに開催国。日本代表は予選グループEに属し、まずは3試合を沖縄アリーナで戦う。

 世界のなかの日本の現在位置を知り、またこの先の成長を占う大事な戦いを直前に控え、ふたりの胸の内は......。

渡邊 やはり高さや強さで、世界には絶対に勝てない。とにかく展開を早くすることと、スリーポイント(シュート)を高確率で決められるかどうか、というところになってきます。

 スリーポイントが高確率で決まれば最後まで競る試合はできると思いますし、もしそれができなければボロ負けで、予選の3試合もあっという間に終わってしまう。このふたつが特に重要かと。

井上 トム(・ホーバス/日本代表HC)は東京五輪で女子の日本代表を率いていた時に「金メダルを獲る」と公言していたじゃない。今回、男子代表でワールドカップに臨むにあたって、そのような具体的な目標などは言われているの?

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