バスケ日本代表は「富樫勇樹のチーム」 それでもW杯出場の12人入りに「危機感はある」と本人が強調するワケ (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • 加藤誠夫●撮影 photo by Kato Yoshio

【富樫は常にキャプテンに指名】

 2019年ワールドカップと2021年東京オリンピックは、八村や渡邊雄太(当時トロント・ラプターズ→現フェニックス・サンズ)らを擁して「史上最強の日本チーム」と呼ばれながら、2大会を通じて1勝も挙げられずにファンらの失望を呼んだ。

 しかし富樫は、45年間もオリンピックに出ていなかった日本がそんなすぐに世界の強豪と伍することができると考えるのは早計ではないか、といった主旨の発言を以前している。

 ただ、そうした世界との戦いで苦杯をなめることも含めて、そこから日本はチームとしても個々の選手としても経験を積み、かつ技量を上げてきた。多くの選手たちが「世界を相手にしての1勝」を目標に掲げてきたが、そこは富樫にとっても同じで、もはや世界での場数の少なさは言い訳にならない。

「前回のワールドカップには何とか出て、それがオリンピック出場につながったわけですが、もう本当に『出ること』に必死だった。

 前回の大会の経験もあって、今回はなんかすごくいい意味でチームとしての自信はありますし、(八村)塁がいないというのはありますけど、今いるメンバーでどう戦っていくか。そしてもう『いい経験になった』では済まされないなと思っているので、結果を出すことに集中していきたいなと思っています」

 そう、けれん味もなく話す富樫。ワールドカップでは彼の力量が発揮されなければ、チームが「結果を出す」ことはままならない。

 また、今の富樫には以前にもまして、チームの中心でいることが求められてもいる。彼はホーバスHC体制下では常にキャプテンに指名され、ワールドカップの本番メンバーに選出された場合にも、その役割を与えられることは濃厚だ。

 富樫は所属する千葉でもキャプテンを担ってきたが、そちらでは自身の役職について「何か特別なことをしているわけではない」と口にしてきた。だが、ホーバスHCのチームではそうはいかず、選手とコーチ陣の間で齟齬(そご)がないように立ち振る舞う、ホーバスHCいわく「ミドルマネジメント」の仕事をこなさねばならない。

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