八村塁の穴は誰が埋めるのか? バスケ日本代表がワールドカップで勝つために不可欠なピース (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【八村辞退で影響大の選手は?】

 だが、この時の吉田は「トムさんが大事にしているシュートが今、自分自身『ハマっていない』。そこは改善が必要」としながらも、3Pについてはどれだけ入らなくても「打ち続けるメンタリティを作らなければならない」と話していた。

 そこから1年近くが経ち、チャイニーズタイペイとの試合では攻守においてまったく迷いがなく、自信を持ってプレーしているように見受けられた。そこについて問われた吉井は、あくまで無骨な物言いでこう答えた。

「空いたらシュートを打つ。ドライブして相手(ディフェンス)が詰めてきたらキックアウト。トムさんのバスケットのベーシックなところをやっていくだけですね」

 昨夏、吉井はワールドカップやオリンピック出場へ「特段、意識をしていない」と語っていた。ワールドカップの開幕が迫り、選考で生き残りが激化する今も「レベルの高い国のチームとやった時に、どれだけ自分の力が発揮できるかという楽しみ以外は変わっていない。一瞬、一瞬、毎日、毎日、チームがステップアップできるように心がけています」と、あくまで愚直な物言いだ。

 オールラウンダーの技量を磨き、SFとしてもPFとしてもプレーできる吉井だが、世界の舞台においてはいずれもアンダーサイズ(やや身長が低い)。だが、フィジカルなプレーをいとわない吉井は「八村の穴を誰が埋めるか」という視点では、最初に浮かぶ存在だ。

 一方、八村の辞退でもっとも直接的な影響を受けるかもしれないのが、川真田紘也(C/滋賀レイクス)だ。というのも、日本がスピードと3Pを重視したスタイルを敷いているとされながらも、相手のビッグマンを守ってリバウンドを確保する役割を担う「サイズの大きな選手」の頭数が必要となるからだ。

 現状の代表候補を見渡すと、帰化枠のジョシュ・ホーキンソン(C/サンロッカーズ渋谷)のワールドカップメンバー選出は確実で、跳躍力や機動力に優れリバウンダーとして期待される渡邉飛勇(今回のチャイニーズタイペイ戦は体調不良で欠場)も選ばれる確率が高い。

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