八村塁が成長したポイントを番記者が語る「チームの未来を担う選手」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by USA TODAY Sports/Reuters/AFLO

 今のところ、今季の塁の成績は昨季とほぼ同じくらいですね。今後、どうなっていくかはチームの方向性次第のところがあり、スタッツを予想するのは簡単ではありません。

 ウィザーズのオフェンスは、開幕直後は好調でしたが、多くの選手が離脱したことで停滞しました。チームが序盤のような破壊力を取り戻せば、塁の平均得点も上がっていく。逆に不調の時のウィザーズは、チーム全体がエースのブラッドリー・ビールの個人技に頼りきってしまう傾向があるので、その点は解消される必要があるかもしれません。

 塁にはシーズン終了までにもう少し成績を伸ばし、平均15得点、7リバウンドくらいを目指してほしいです。チームメイトがいいコンディションを保ち、ケミストリーが芽生えれば、そのくらいは十分に可能だと私は思っています。

 私はウィザーズの番記者になる前にカレッジバスケットボールも担当し、ゴンザガ大時代の塁を取材していました。ゴンザガ大での最後のゲームはテキサス工科大との対戦で、塁は活躍したのですがチームは敗れてしまい、試合後はほとんど何も話してくれなかったことが記憶に残っています。

 カレッジでの彼は、英語、アメリカでの生活、アメリカのバスケットボールなど、さまざまなことを急速に学んでいた印象があります。ゴンザガ大があるワシントン州スポケーンは本当に閑散としていて、何もない土地です。そんな場所で日本人選手が成長し、活躍しているというという背景も面白く、塁は極めて興味深い取材対象でした。

 カレッジ時代の塁は本当にシャイで、大人しく、言葉を引き出すのが大変だったこともいい思い出です。当時と比べて、今ではしっかりと喋るようになりましたね。会見でもよく笑うし、ジョークも飛ばす。1年目と比べても、2年目はメディア対応時のやりとりがよりスムーズになり、コート外でも成長したなと感じています。

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