Bリーグのスターに洗礼。馬場&比江島さえもNBAへの道は険しい (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

「ハードワークによって、彼は我々の基盤を担う選手のひとりになっているよ。そういったプレーは、他の選手に伝染しやすいんだ。いい意味でね」

 サマーリーグでマーベリックスの指揮官を担うマイク・ワイナーHCは、『ダラスモーニングニュース』紙・電子版の取材で、馬場についてこう話していた。馬場を舞台裏から見ていた伊藤氏も、「彼はチームに馴染んでいると思いますよ。明るいですし」と述べている。

 一方、ニューオーリンズ・ペリカンズでプレーした比江島は、本来の実力を発揮できないままサマーリーグを終えたと言えるだろう。

 比江島は5試合中、3試合でフロアに立ったが、得点を挙げることは叶わなかった。4試合目のクリーブランド・キャバリアーズ戦では約5分のプレー機会を与えられながら、シュートをリングの中に通すことはできなかった。

「ただ、自分に実力がないだけじゃないですか」

 試合後、比江島が口にした言葉は、ポジティブな姿勢を崩さない馬場の言葉も耳にしているだけに、よけいに切なく聞こえた。

 比江島にとって酷だったのは、日本でのプレースタイルと違うものを求められたことだ。普段は巧みなドリブルからのペネトレイトを得意としているが、ペリカンズでは「シューター」の役割を与えられた。

 スリーポイントラインは国際ルールよりも遠く、ブロックに来る相手選手の跳躍力も日本人より秀でている。比江島もスリーポイントシュートの技量を年々高めているとはいえ、普段と異なる役回りを担うことは容易でなかったはずだ。

 日本代表で「エースのひとり」と称され、昨シーズンのBリーグではMVPにも輝いた。そんな彼が本来の実力を十分に発揮できない姿を見るのは、どうにもフラストレーションが溜まる。

「自分が一番、歯がゆい」

 キャバリアーズ戦後、比江島はそう話した。本来であれば、この場にいること自体が日本のバスケットボール界にとって、すばらしいことである。ただ、他の3選手の活躍ぶりと比べると、かなり苦闘している印象なのは否めない。

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