田臥勇太、36歳の今も「NBAサンズでの、あのワンプレーを考える」 (6ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Sportiva

 たとえば、僕より速い奴なんかいっぱいいる。でも、じゃあ僕の負けなのかと言ったら、そうじゃない。そういう表面的な部分じゃなくて、何が選手の勝敗を決めるかと言ったら、バスケットボールに対する情熱じゃないかと思うんです。そこに関しては、誰にも絶対に負けたくない。それが、すべてのプレーにつながっていると思う。

 だから、Bリーグだけじゃない。ミニバス、中高生、大学生、バスケットボールを好きなすべての選手にがんばってもらいたいし、そのために僕ができることがあるなら何だってしたい。でもその反面、僕はこれからも、『絶対に負けたくない』と思ってプレーを続けると思います。一緒に競争をしていこうって」

 最後に聞いた。二十歳の田臥勇太、今の田臥勇太、どっちがバスケ、うまいですか?

 間をおかず、その答えは返ってきた。

「今ですね。確実に今です。断言できます」

 最後の最後に聞いた。二十歳の田臥勇太、今の田臥勇太、どっちがバスケットボールを好きですか?

 返答は、さっきよりも速かった。

「それも、今です」

 田臥勇太を田臥勇太たらしめる理由のすべてが、きっとこのひと言に凝縮されている。


【profile】
田臥勇太(たぶせ・ゆうた)
1980年10月5日生まれ、神奈川県横浜市出身。リンク栃木ブレックス所属。バスケットボールの名門高校・秋田県立能代工業に入学し、3年連続でインターハイ・国体・ウィンターカップの3大タイトルを制して史上初の「9冠」を達成。2004年、フェニックス・サンズと契約し、日本人初のNBAプレーヤーとなる。2008年よりリンク栃木ブレックスでプレー。ポイントガード。173センチ・75キロ。

■バスケットボール 記事一覧>>

6 / 6

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る