角田裕毅が実力で「11位の壁」を越えた 日本GP10万人の大観衆のなか、鈴鹿サーキットで見事にサクラサク (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【セカンドグループのなかでの"優勝"】

「ストロールが追い上げてくるというのはわかっていたので、最後の最後までタイヤを温存しておいて、ストロールが追いついてきた時に備えていました」(角田)

 ストロールが後方のマグヌッセンとボッタスを抜いて7秒後方に迫ったところで、角田はペースを上げて反応。最後はストロールとほとんど変わらないタイムまで記録し、ストロールの追撃に対してとどめを刺した。

 テクニカルディレクターのジョディ・エギントンは、角田のドライビングとチームクルーの働きを絶賛した。

「トップ5チーム10台すべてが完走したなかで、今日の我々は10番目に速いマシンで、10位でフィニッシュした。つまりは実力どおりのいいレースができたということだ。

 裕毅は後方とのギャップを見ながらレースをコントロールして、最後にペースを上げて引き離した。我々としては非常にうまくレースをコントロールできたと思う。スタートで出遅れたが、メカニックたちは本当にすばらしい仕事をしてくれた。

 最初のピットストップでアンダーカットされてしまったから、ペースは上がってもコース上でのオーバーテイクは難しかった。しかし今日は、メカニックたちがこのポイントを獲得したんだ」

 まさしく、角田もチームもすべてを出しきっての10位。トップ5チーム10台すべてがいるなかで、実力で"11位の壁"を越えて、入賞をもぎ取った。

 赤旗中断からのリスタートや1コーナーでの漁夫の利、ピットストップではライバル勢がミスをしたといった幸運もあった。しかし、そんな幸運に恵まれたことも、幸運によって得たポジションを最後まで守りきったことも、すべては今の角田とRBの実力があるからこそだ。

 ホンダの現場運営責任者としてレースを見守っていた折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネジャーは語る。

「幸運があって上に行く、というのは今までもありましたけど、今まではそのポジションを維持できませんでしたよね。でも、今はいいストラテジーで戦い、やるべきことをしっかりやっているから、上位に残る確率が上がっているんだと思います。

 その結果として、運に恵まれたりして上位に上がれた時に、そのポジションを守りきれるようになっている。上位勢が全員残っていての10位ですから、この1ポイントはものすごく大きな1ポイントだと思います。セカンドグループのなかでの"優勝"ですし、これしかないというかたちで入賞を果たしましたから」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る