角田裕毅が実力で「11位の壁」を越えた 日本GP10万人の大観衆のなか、鈴鹿サーキットで見事にサクラサク

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 サクラサク──。

 好天に恵まれたF1日本GP・決勝日の鈴鹿サーキットは10万2000人の大観衆が詰めかけ、角田裕毅(RB)の10位入賞に大声援を送った。

 シングルでもなければ表彰台でもなく、もちろん優勝でもない。しかし、このマシンでこのリザルトがどんな意味を持っているのか、鈴鹿で角田の走りを見守った誰もが理解していたはずだ。

 予選Q3進出も、決勝のスタートで一時は13位まで後退しながら10位まで挽回して力強く守りきった走りも、すべてがマシンとチームと自身の全力を出しきっての結果だった。

角田裕毅とヘルムート・マルコ(RBアドバイザー)が握手 photo by BOOZY角田裕毅とヘルムート・マルコ(RBアドバイザー)が握手 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る 「ホッとしています。最初のスタートで2ポジション落としたこともあって、正直に言ってその瞬間はガッカリしていました。でも、その後のリスタートでいいスタートが切れて、ピットストップでチームがかなりいい仕事をしてくれて、ポジションを守るだけでなくふたつポジションアップすることができて、本当にすばらしかったですね。

 あれがなければ、ポイントを獲るのはかなり厳しかったと思います。その後は毎周のように日本のみなさんのサポートを感じながら走れたので、本当にいいレースができたと思います。3年目でようやく日本GPでポイントが獲れて、とてもうれしいです」

 タイヤマネジメント優先でスタートにミディアムタイヤを選んだのは、結果から言えば失敗だった。しかし、直後の事故で赤旗中断となり、再スタートではソフトタイヤを選んで再チャレンジするチャンスを手にした。

 そこでスタートを決め、さらには目の前でジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)がロックアップしてバルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)を道連れにアウトへはらみ、角田は最初のスタートで失ったポジションをすべて取り戻す幸運を得た。

 最初のピットストップはボッタスに先手を打たれ、アンダーカットを許して抑え込まれる展開になってしまった。さらには、またしてもハースのケビン・マグヌッセンが1ストップ作戦で立ち塞がった。

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