F1日本GPの行方を中野信治が占う......フェルスタッペンの「異次元の走り」を止められるチームはあるか (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【気になるハミルトンのモチベーション低下】

 昨年の日本GPはレッドブルとマクラーレンが速かったですが、鈴鹿はタイヤに厳しいコースですし、直線が速くなければ勝てないサーキットです。ふつうに行けば、レッドブルとフェラーリが強いと思います。

 そこにマクラーレン、メルセデス、アストンマーティンがどこまで迫るのか。角田裕毅選手がドライブするRBは入賞をかけて戦うことになると予想しています。

 優勝争いの本命は、日本GPで2連勝中のレッドブルのマックス・フェルスタッペンでしょう。ただ今年のレッドブルは意外と予選の一発は苦しんでいるところが見られますし、フェラーリは鈴鹿前のオーストラリアGPで今季初勝利を挙げて、流れがあります。

レッドブルとの優勝争いが期待されるフェラーリ photo by Sakurai Atsuoレッドブルとの優勝争いが期待されるフェラーリ photo by Sakurai Atsuo

 フェラーリは決勝でのタイヤのデグラデーション(性能劣化)を抑えるスイートスポットさえ見つけることができれば、フェルスタッペンと互角の勝負ができるチャンスはあると思っています。

 それに今のフェラーリのドライバーはチームメイト同士で刺激し合い、いい走りができています。オーストラリアGPを制したカルロス・サインツは今季限りでチームからの離脱が決まっていますが、彼は来年のシートを獲得するためにもシャルル・ルクレールを倒すために全力で行くでしょう。

 一方、ルイス・ハミルトンを迎え入れるルクレールもサインツに負け続けていると、来季のチーム内でのポジションに影響が出てくるかもしれません。

 ルクレールとサインツがいい意味で競い合っていますので、そこでのパフォーマンスの上積みも期待できます。フェラーリが2台でフェルスタッペンにプレッシャーをかける展開になれば、レッドブル陣営やフェルスタッペンがミスする可能性もあります。そうなるとおもしろくなると思っています。

 メルセデスに関しては、日本GPで優勝争いにからんでくるのは難しいと思います。僕は、ハミルトンのモチベーションが少し下がっているのではないかとちょっと気になっています。

 ハミルトンは今季限りでチームを離脱することが決まっているので、メルセデスはどうしてもジョージ・ラッセルにシフトしていくので仕方のない面はありますが、レース後のハミルトンのコメントを聞いていると、すごくサバサバしていますし、言い訳のような内容が多い印象を受けています。

 でもハミルトンとしてもラッセルに負けたままでチームを離れることになれば、移籍先のフェラーリでの評価が厳しくなっていくと思います。そういう意味でもハミルトンは頑張らないといけません。

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