F1日本GPを語ろう(3)高木虎之介「鈴鹿は得意なのに1周4秒も遅かった」「Xウイングがあれば......」 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro

 でも、ティレルの時を振り返ると、シーズンの前半戦は速かったんですよ。『Xウイング(※)』が許されていた頃は、すごく調子がよかったんです」

※Xウイング=1998年にティレルが導入した画期的なデザイン。前年から大幅に車両規定が変わったとして、各チームは少しでも性能を維持するために対策案を模索。そこで登場したのがXウイング。コクピットの両サイドに追加ウイングを装着するもので、ティレルを皮切りに数チームが導入し始めるも、安全上の理由により、シーズン途中で装着禁止となった。

── たしかに当時、Xウイングは話題になりました。効果はかなりあったのですね?

「やっぱり、あのウイングありきでクルマもデザインして、空力バランスとかも開発をしていたから、初めての予選(オーストラリアGP=13番手)でもすごくよかったです。あれが禁止されてなくなってから、マシンは全然ダメになっちゃって......。

 もし当時、鈴鹿が今年のように春に開催されて、Xウイングが禁止になっていないタイミングだったら、成績はすごくよかったかもしれません(笑)。あと、当時のティレルがシーズン開幕前にB・A・Rに買い取られてしまったことで、そこから開発も一気に進まなくなりましたね」

── 虎之介さんがF1に参戦していた頃、チームメイトやライバルとの思い出などはありますか?

「2年目のアロウズの時は、ペドロ・デ・ラ・ロサがチームメイトでした。彼とは昔からライバルで一緒に走っていたから、常にタイムを競いながら、データを見ながら戦っていましたね」

── 今、F1では角田裕毅選手ががんばっています。彼の活躍ぶりはいかがですか?

「角田がカートをやっていた小学生の頃から知っているので、(カートで)チャンピオンを獲って次のステップに上がっていくところも見てきました。彼のお父さんとも(角田がカートをやっている頃から)仲がよかったです。

 だから、今の活躍については、『(F1に)やっぱり来たな』という感じですね。こうして長く(2021年〜)F1に乗れているので、表彰台には乗ってほしいですね」

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