角田裕毅に足りない「狡猾さ」「冷静さ」 中野信治が指摘するF1トップレーサーへの課題「リカルドを意識しすぎている」 (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【リカルドを意識しすぎている】

 もちろん結果は必要ですが、チームを味方につけてスタッフが「裕毅を優先して戦っていくしかない」という流れをつくっていけば、本当の意味で変わると思います。角田選手はもっと強くなります。そういう状況をつくるのは簡単なことではないですが、一流ドライバーを目指すのであれば、チームを自分のために動かす能力は欠かせません。

 そこで重要なカギになるのは、リカルド選手の持つ狡猾さや時には我慢することだと思います。もちろん角田選手は今でも我慢していると思いますが、表現の方法は別にあるのかなと感じています。

「アンガーマネージメントをもっとしっかりしろ」と、若い角田選手に望むのは酷なのはわかっています。でも、彼が目指しているのはもっと上のレベルだと思いますし、今のF1で生き残っていくためにはそういう能力が必要だということも現実としてあります。そのためには、角田選手は変わらなくてならない。

インタビューに応じる中野信治氏 photo by Murakami Shogoインタビューに応じる中野信治氏 photo by Murakami Shogoこの記事に関連する写真を見る

 あと、角田選手はリカルド選手のことを意識しすぎなのかなと感じます。同じことはリカルド選手にも言えます。来年のレッドブルへの昇格やRBの残留などが頭にあるのだと思いますが、まだシーズンは始まったばかり。まずは目の前のレースに集中してほしい。

 RBのマシンには現時点で表彰台に上がるだけの競争力はありません。とはいえ、長いシーズンのなかには数回、RBのマシンに合うサーキットが必ず出てきます。チャンスが来たときにしっかりとつかむ準備を角田選手にできているかどうかがポイントになってくると思います。

 これまで話してきたように、角田選手がチームをしっかりと味方につけて、自分を優先して戦う状況に持っていくことができれば、表彰台に上がるチャンスは決して少なくないと僕は思っています。

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