キャリア20年のF1エンジニア・小松礼雄に聞く「いいドライバーの条件」過去No. 1は誰? (3ページ目)

  • 熱田 護●取材・文 text by Atsuta Mamoru

【フェルスタッペンとアロンソが同じクルマで戦ったら?】

ーー最後に、今、現役選手のなかで好きなドライバーをふたりクルマに乗せられるとしたら、誰を選びますか?

 ひとりは絶対にフェルスタッペンですね。もうひとりはマクラーレンのランド・ノリス選手もいいですが、やっぱりアロンソかな。まさに夢のラインナップですね(笑)。アロンソは42歳になりましたが、今でも速いクルマを与えたら、すごい走りをすると思います。フェルスタッペンとアロンソが同じクルマでガチンコの勝負をしたらどうなるのか、興味がありますし、見てみたいです。

ーー答えるのが難しいと思いますが、フェルスタッペン選手とアロンソ選手が同じクルマに乗ったらどちらのドライバーが勝つと予想しますか?

 難しいですね(笑)。予選の一発に関しては、現時点では若いフェルスタッペンが勝つかもしれないですが、決勝は雨でもドライでも両方とも恐ろしいほど速いので、正直、わからないです。速さだけで言えば、フェラーリのシャルル・ルクレール選手もふたりに匹敵するレベルにあると思いますが、やっぱりミスが多い。フェルスタッペンとアロンソは速さと強さを兼ね備えています。

 あえて、どっちかが勝つと言うなら、フェルスタッペンかな。アロンソは昔(2007年)、マクラーレンでルイス・ハミルトン選手と組んでいた時代に、当時ルーキーのハミルトンに追い詰められ、精神的な弱さを露呈してしまったことがありました。でも、フェルスタッペンは2015年に17歳でデビュー以来、若さゆえのミスは何度かしたことはあっても、メンタルの弱さを見せたという記憶がありません。フェルスタッペンの死角はどこにあるのかなと思いながら、いつも彼のレースを見ています。


終わり

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編集協力/川原田 剛


【プロフィール】
小松礼雄 こまつ・あやお 
1976年、東京都生まれ。高校卒業後、F1の世界を目指して渡英。ロンドンの英語学校で学んだのち、ラフバラ大学自動車工学部に進学。同大学の博士課程を経て、2003年にB・A・RホンダでF1のエンジニアとしてのキャリアをスタート。その後、ルノーやロータスでエンジニアとして活躍し、2016年に結成されたハースF1チームにチーフレースエンジニアとして加入。2023年はエンジニアリングディレクターとしてチームの技術面の責任者を務めた。

プロフィール

  • 熱田 護

    熱田 護 (あつた・まもる)

    フォトグラファー。1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。取材500戦を超える日本を代表するF1カメラマンのひとり。

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