角田裕毅、アブダビの衝撃!など「成長を感じさせた」2023年 F1ジャーナリストは「ミス以上に見るものをワクワクさせた」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 まだまだ足りないことは本人が一番よくわかっており、2024年は自身の「完成形を見せる」と断言してくれました。あのアブダビGPのレースを終えた直後にその言葉が出たことに、彼の最大の成長を見た気がします。

【6】ラスベガスGPの初開催、エミリア・ロマーニャGPの中止

 2023年はラスベガスで初めてのグランプリが開催されました。ラスベガスの豪華絢爛なカジノホテルが建ち並ぶ「ラスベガスストリップ」をF1マシンが駆け抜ける市街地サーキットです。

 これはF1のオーナーであるリバティメディアの悲願であり、今のアメリカでのF1人気沸騰を象徴するようなグランプリでした。レースはフェラーリの奮闘もあってエキサイティングな展開になりましたが、興行面ではいくつかの課題も見えました。

 まず、観戦チケットやホテルの高騰で、結局かなりの部分が売れ残ってしまったこと。これは初開催のレースではよくあることですから、2024年以降は次第に落ち着いてくるかもしれません。

 初日の金曜フリー走行では、排水バルブのフタに問題が生じてマシンがヒットするという事故が起き、スケジュールが大幅に遅れるという事態もありました。これは単純に準備不足と確認不足であり、主催者だけでなくサーキットにゴーサインを出したFIAにも責任があります。

 また、当初はあまりにコーナーが少なく直線ばかりのコースレイアウトに疑問の声もありました。しかし実際に走ってみれば、決してシンプルで簡単というわけでもなく、そんなに悪くないレイアウトだったのではないでしょうか。

 問題は、異常な寒さのなかで、なおかつ夜22時からスタート(予選に至っては24時スタート!)するような、極めて異例な環境です。

 11月のラスベガスが極寒なのは当初からわかっていたことで、タイヤやブレーキをうまく機能させるのも難しければ、パワーユニットなどはオイルの過冷却を防ぐためにラジエターに対策をしなければならないほど。異例の深夜帯スケジュールも、アメリカ・ネバダ州にいながら日本時間で生活することが現地スタッフたちに求められ、決して好評ではありませんでした。

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