2023年のF1を象徴するトピックス10「ベッテルを抜いて歴代3位」「驚異のルーキー現る!」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 また、メルセデスAMGもアメリカGPやカタールGPでは速さを見せ、マクラーレンもカタールGP、サンパウロGPでは優勝をうかがうところにいました。

 モナコGPやオランダGPでは、雨に対するピット戦略判断によってはフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が勝っていてもおかしくありませんでした。しかし、そんなギリギリの状況でも着実に勝利を掴み獲ってきたのが、2023年のレッドブルでした。

 22戦21勝というのは、決してマシンの圧倒的な性能によって労せずして得た結果ではなく、チームとドライバーの総合力として、ほかの誰よりも優れていたがゆえの結果です。

 優勝争いだけを見れば「またレッドブルか」と、シーズンがやや退屈なものになってしまったことも事実です。ですが、それはレッドブルのせいではなくライバルたちのせいであって、レッドブルの強さと偉業は賞賛されてしかるべきものです。

「1988年のマクラーレン・ホンダ」のように、今後、何十年と語り継がれていくであろう「歴史」を目撃したことを、我々は誇りに思うべきでしょう。

【2】フェルスタッペン3連覇。通算勝利数で歴代3位!

 レッドブルの独走は、すなわちマックス・フェルスタッペンの独走でもありました。

 シーズン序盤はセルジオ・ペレスが同等の速さを見せてタイトル争いに名乗りを挙げましたが、プレッシャーもあったのか急失速。それ以降のフェルスタッペンは、ほとんどプレッシャーを受けることもない状況が長く続きました。それでも毎回全力を出しきり、容赦なく貪欲に勝ち続けたのはさすがでした。

 だからこそ「22戦19勝」という驚異的な記録で3年連続の王者となることができたのです。あらゆる部分で100パーセント実力を出しきることに貪欲で、レース全体を俯瞰して冷静に見詰め、攻めるべき所では攻め、ミスも犯さない。まさに「王者の風格」というものを見せつけたシーズンだったと思います。

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