2023年の角田裕毅を元ホンダF1トップはどう見たか? 2024年の勢力図を予想 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 マックスは勝利にかける意識がハンパではないので、今年と同様の力を発揮するのは間違いないと思います。だけど、後半戦に面白いレースがいくつも見られたように、あそこからライバルたちもさらにレベルアップして、ルクレールやハミルトンなどほかのドライバーたちも接戦になる可能性が高いと思っています。だから来年は、すごく面白くなると思うので楽しみです」

── それ以外の注目は?

「マクラーレンの急成長は(テクニカルディレクターの)ジェームズ・キーが離れて技術体制が変わったというのもあるでしょうけど、(2024年1月から加入予定の)ロブ・マーシャルの影響が大きいと思います。レッドブルのファクトリーを仕切っていて、エイドリアン(・ニューウェイ/チーフテクニカルオフィサー)が言ったものを作る立場だった人ですから。

 アストンマーティンがシーズン序盤戦によかったのも、ダン・ファロウズがレッドブルから加入したことが大きかった、やっぱり『人』なんですよね。クリスチャン(・ホーナー/レッドブル代表)にもよく『やっぱり人だから』ってよく言われましたから。

 そういう意味で、2024年は人材の移籍も進んで、トップ5チームが序盤から面白いレースをしてくれるんじゃないかなという期待感があります」

── そして、4シーズン目を迎える角田裕毅への期待は?

「4年目の2024年は、言い訳はできない。アルファタウリを卒業してほかのチームに行けるくらいの評価をされるドライバーにならないといけないわけですからね。来年は『レッドブルドライバー』ではなくて、『F1ドライバー』になってほしいですね。

 僕はF3から見てきて何度も『君が代』を聞かせてもらったし、日本人ドライバーで最初にF1で『君が代』を聞かせてくれるのは彼じゃないかと、今でも思っています。だからこそ来年は、本当にプロフェッショナルなF1ドライバーとして成長した姿を見せてほしいと思っています」

<了>


【profile】
山本雅史(やまもと・まさし)
1964年3月15日生まれ、奈良県出身。高校卒業後の1982年、本田技術研究所に入社。2016年、マネージメントの手腕を買われてホンダ本社のモータースポーツ部長に就任。2019年にF1担当マネージングディレクターとなり、2020年のアルファタウリ優勝や2021年のレッドブル・ドライバーズタイトル獲得に貢献。2022年1月にホンダを退職し、現在はMASAコンサルティング・コミュニケーションズ代表を務める。

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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