角田裕毅のラスベガス攻略法 ナイトセッションや特殊なレイアウトにどう対応する? (3ページ目)
【ストレートでオーバーテイク合戦になるか否か】
それに加えて、この時期のラスベガスは気温が高くはない。セッションが行なわれる深夜の時間帯は10〜15度程度まで下がる。
グランプリ開催に合わせて舗装されたばかりでグリップの低いアスファルトに、高速コーナーがターン3〜4しかなく、フロントタイヤに熱の入りにくいレイアウト。そしてこの低温と、チームやドライバーとしては頭を悩ます要素は多い。
つまり、コースレイアウトの見た目ほど、シンプルなレースではなさそうだ。
「ここは初開催でグリップレベルがわからないので、シミュレーターは推測の域を出ません。それをもとに何かを判断するのは難しいですね。僕たちの想定どおりのグリップレベルならいいですが、そうでなければ準備してきたものに対してある程度の妥協を強いられることになると思います」
角田はそう言う。だが、ラスベガス入りしてコースチェックをしたチーフエンジニアのジョナサン・エドルスは、ほぼ想定どおりだったと自信を見せて次のように話している。
「新舗装は構造材が石を覆っており、通常ならグリップは低い。これがウイングレベル選択に影響を及ぼす。もうひとつは縁石で、非常に低いため、乗り越えによるマシンパフォーマンスへの影響は小さい。このようにトラックウォークでわかったことをシミュレーションに折り込んで準備し、フリー走行に臨むのを楽しみにしている」
長いストレートでオーバーテイク合戦になるのか、それともDRS(※)トレインで動きのほとんどないレースになるのか。
※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。
いずれにしても、コンクリートウォールに囲まれた高速戦は荒れた展開になること必至。アルファタウリとしてはそのなかで生き残って、しっかりと4戦連続のポイント獲得を果たしたいところだ。
プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
3 / 3