角田裕毅がメキシコで狙う僚友リカルドとのダブル入賞「マシンパッケージもトップ10に近づいて来ている」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【マシンは常にスライドしているような状態】

 しかし、中団トップのあの位置にいたからこそ掴み獲ることができたチャンスでもある。

「そうですね、それまでうまくいっていたからこそファステストも獲りにいけたと思いますし、こういうレースを続けてほしいなと思います。もっとタイヤなどのフィードバックをして、自分からも戦略面を手助けできるように頑張りたいです」

 第20戦メキシコシティGPの舞台となるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは標高2240メートルという高地にあり、地表に比べて空気は22パーセントも薄い。

 モナコ仕様のウイングをつけてもモンツァ仕様程度のダウンフォースしか発生せず、なおかつ運動公園の周遊路を使っているがゆえに路面自体のグリップレベルも低い。そのため、マシンは常にスライドしているような状態になる。

「ふだんのようなダウンフォース量がなく、マシンのフィーリングは通常とかなり違うので、ドライビングの仕方という点でいつもと違うアプローチに適応する必要があります。でも、僕はその点もわかっています」

 アルファタウリのマシンは、空力性能はまだ熟成途上にあるが、メカニカル面の性能はシーズン開幕当初から高く、同じようなコース特性のアゼルバイジャンでもQ3進出と入賞を果たしている。2021年にはピエール・ガスリーが予選5位、決勝4位という好走を見せてもいる。

 前戦アメリカGPで左手の骨折から復帰した僚友のダニエル・リカルドも、今週末はさらにセットアップを煮詰めて入賞圏内を目指せるはずだと自信を見せている。

「オースティンはシミュレーション上、僕たちにとってそんなによくないサーキットだった。実際はレース後のデブリーフィングで確認したところ、最初のピットストップ後にマシンにダメージがあったことは確かで、それによるロスの大きさもわかっているし、そのせいでレースの争いから脱落してしまった」

 アメリカGPはスプリント週末ゆえ、わずか1時間のセッションのみでセットアップを煮詰めなければならず、およそ2カ月ぶりのレース復帰となるリカルドにとってはセットアップもマシン習熟も難しかった。この間にAT04がいかに進化したかということでもある。

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