「クレイジーボーイ」佐々木歩夢の走りに4万人のファンが歓喜 1998年以来の最軽量クラス年間王者なるか (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

【佐々木が0.056秒差で2位表彰台を獲得】

「悪くはないんですが、まだちょっと何かが足りないな、という感じです」

 ガレージから出てきた佐々木は、現状の戦闘力についてそう説明し、課題はブレーキングポイントからバイクを倒しこんでいく部分だと話した。

「トップとの差は0.4秒でそんなに大きくないし、ちょっとした変更ですごく改善できるので、明日に向けてしっかりチームと集中して話し合います。コーナーを立ち上がってアクセルを開けてからはロスをしていないので、目標は最低でも表彰台。去年の日本GPでも2位だったので、今年は優勝を目指して頑張りたいと思います」

 4.8kmのコースを17周して争われる決勝レースは、日曜12時にスタート。Moto3のレースはコーナーごとに順位がめまぐるしく入れ替わる激しいトップ争いに定評があるが、その戦いは序盤周回で数名に絞り込まれ、やがてチャンピオンを争う佐々木、オルガド、マシア3名のバトルになった。そこからマシアが少しずつ抜け出し、最後はふたりを引き離して優勝。佐々木とオルガドの緊密な2位争いは、ファイナルラップの17周目まで続いた。

 佐々木は、最終コーナーを先に立ち上がったオルガドをゴールラインまでの直線で逆転し、0.056秒早くチェッカーフラッグを受けて2位を獲得。優勝したマシアが25ポイントを獲得。佐々木は2位で20ポイント、オルガドは3位の16ポイントという結果で、チャンピオンシップポイントはマシアが単独首位になった。佐々木は6ポイント差でランキング2番手、そこから3ポイント背後にオルガド、という接近した状態だ。

 マシアが逃げきる形になったレース展開について、佐々木は「昨日までマシアが一番速かったので、彼が引っ張るレースになることはわかっていました。バイクの課題をチームがうまく解決してくれてフィーリングよく走れたので、もう少し頑張れたのかもしれないけれど、そうするとリスクを負いすぎる可能性もありました。優勝したかったので少し悔しさもありますが、いい形の2位で終わることができたのでよかったと思います」と、納得した表情でレースを振り返った。

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