中野信治に聞くなぜフェルスタッペンはここまで強いのか?レッドブルのマシン特性から考察 (2ページ目)
【フェルスタッペン好みのクルマではない】
ただ、今のレッドブルのマシンにはシーズンを全勝し、ライバルを完全制圧するほどの強さはありません。それでも、前半戦に他のチームに大差をつけてチャンピオンシップをリードできたのは、フェルスタッペンのドライバーとしての能力によるところが大きいと感じています。
ここ数戦、とくに予選では僅差の戦いが続き、時にもライバルにおくれをとることもあります。それでも際どい勝負のなかでしっかりとポールポジションを獲得できているのは、フェルスタッペンの力です。
マックス・フェルスタッペンの強さを解説する中野信治氏 撮影/村上庄吾この記事に関連する写真を見る ただ、今年のレッドブルは、フェルスタッペン好みのクルマではないと思います。新レギュレーションが導入される以前、2021年までのレッドブルは「フェルスタッペン・スペシャル」と言っていいと思います。ピーキーな挙動ですが、フロントが入りやすく、すごく曲がっていくオーバーステア傾向のクルマでした。そういう特性のマシンをフェルスタッペンは得意としており、彼の持ち味がよく出ます。
ところが2022年以降のレッドブルは、簡単に言うと、重くて、フロントが入りづらく、曲がらないクルマ。でも、挙動はすごくマイルドで、乗りやすい。フェルスタッペンよりは、むしろチームメイトのセルジオ・ペレスのドライビングに合ったクルマだと言えます。
ペレスはピーキーな挙動は苦手で、少し曲がりづらいけれども、ステアリングをパッと切り込んでいくクルマを得意としています。開幕前のテストでのデータを見ると、今年のレッドブルは昨年のマシンよりもさらにマイルドな挙動になっていて、ペレスにとってはすごく乗りやすいだろうなと思っていました。逆にフェルスタッペンは、自分のおいしいところを使えないだろうなという印象を受けました。
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