F1フォトグラファー対談 角田裕毅の成長とF1映画を語る「ブラッド・ピットはいい人」 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【レッドブルの全勝は止められるのか?】

ーー第14戦のオランダGP(8月25〜27日)から後半戦がスタートします。ふたりが注目しているポイントはありますか?

熱田 アストンマーティンは少し元気がなくなってきましたが、ここのまま落ちていったらおもしろくないよね。アロンソにはもう一回くらい表彰台に上がってほしい。でも勝っちゃダメですよ! レッドブルのシーズン全勝の記録がかかっているんだから。

開幕戦から一度も負けることなく、シーズンを折り返したレッドブル 撮影/熱田護開幕戦から一度も負けることなく、シーズンを折り返したレッドブル 撮影/熱田護この記事に関連する写真を見る桜井 チャンピオン争いはフェルスタッペン、レッドブルでもう決まりですし、他のチームが勝ってもいいと思うんですけどね(笑)。アストンマーティンは新しいファクトリーを完成させたばかりで、実際に見てきましたが、すごく立派で驚きました。

 この施設が本格的に稼働するようになれば、レッドブルと互角の勝負ができるようになると思いますので、タイトル争いに参加するのはもうちょっと先ですね。後半戦でフェルスタッペンに勝つ可能性があるとすれば、チーム力が高いメルセデスのハミルトンぐらいかな。

熱田 ハミルトンでも難しいんじゃないかな。フェルスタッペンはハンガリーGP予選でハミルトンにポールポジションをとられていましたが、なんの焦りもなかったと思いますよ。だってレースペースが全然違いますから。同じことはマクラーレンにも言えますよね。とにかくレッドブルの決勝での速さは異次元です。

桜井 フェルスタッペンは決勝のファステストを余裕でとりますからね。確かに大きなマシントラブルやアクシンデントがなかったら、レッドブルが後半戦も全勝するでしょうね。

熱田 おもしろいのは表彰台の3位争いですよ。順当にいけば、レッドブルのワンツーだから、3位に誰がなるのか。フェラーリ、メルセデス、マクラーレン、アストンマーティンの8台が表彰台の最後の一角を目指して争うという形になると思います。

ーー9月下旬には鈴鹿サーキットで日本GPが開催されます。

桜井 昨年は大雨で、鈴鹿に観戦に来たファンの方は寒かったと思います。今年はすみきった青空の下でイベントが行なわれてほしい。F2でチャンピオン争いする岩佐(歩夢)選手がフリー走行を走ってくれたら最高ですね。

恒例となったF1カメラマン対談 撮影/五十嵐和博恒例となったF1カメラマン対談 撮影/五十嵐和博この記事に関連する写真を見る熱田 そうですね。ベルギーGPでホンダのPU(パワーユニット)を搭載したレッドブルが、1988年にマクラーレン・ホンダが樹立した12連勝の記録を抜きました。

 今は、ホンダがレッドブル・パワートレインズを技術支援していることになっていますが、スタッフの方々は撤退前と変わらず仕事をしています。日本GPも勝って、連勝記録をさらに伸ばしていってほしいです。サーキットに観戦にいらっしゃる方は、フェルスタッペンの圧倒的な強さを間近で体感してほしいです!

対談前編<F1フォトグラファーが明かすフェルスタッペン、アロンソらの素顔「撮影できて幸せ」」>を読む

写真特集<フェルスタッペンの笑顔、角田裕毅の激走...F1名フォトグラファーの厳選写真20枚は「芸術の域」>を読む


【プロフィール】
熱田 護 あつた・まもる 
1963年、三重県鈴鹿市生まれ。2輪の世界GPを転戦したのち、1991年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始。F1取材は約570戦、日本を代表するF1カメラマン。2019年にF1写真集『500GP』、2022年にホンダF1のタイトル獲得を記録した写真集『Champion』(ともにインプレス刊)を刊行。


桜井淳雄 さくらい・あつお 
1968年、三重県津市生まれ。1991年の日本GPよりF1の撮影を開始。これまでに400戦以上を取材し、F1やフェラーリの公式フォトグラファーも務める。YouTubeでは『ヒゲおじ』としてチャンネルを開設し、GPウィークは『ヒゲおじ F1日記』を配信中。鈴鹿サーキット公式HP内の特設ページ『写真で振り返る2023年シーズン』で作品を掲載。

プロフィール

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る