F1復帰に向けてホンダの開発は遅れ気味も間に合うのか 世界一のパワーユニットを作った技術力に確固たる自信あり (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by HRC

【ゼロからのスタートではない】

「我々は第4期にMGU-Kの駆動系にすごく苦労して、最終的に信頼性があるものを確立するのに2年以上かかったという痛い思い出があります。

 モーターが大きくなると、モーターのローターのイナーシャ(物体が持つ慣性)が非常に大きくなる。そうすると、クランクシャフトとモーターというそれぞれ違う動きをしているものを駆動でつなぐところにものすごい力が瞬間的にかかり、それによってギアや駆動シャフトが壊れるというトラブルをすごく抱えました。

 これを解決するのに、ものすごい時間がかかった。なので我々としては、ここは早く着手しなければならない大きなポイントのひとつと捉えていました」

 バッテリーは2021年後半戦に投入した現行型でも大きなアドバンテージがあり、効率面でも劣化面でも優位に立っていた。「それをベースに開発して、"まぁまぁ"のものができつつある」と角田LPLは語る。

 ライバルメーカーたちはすでにV6エンジンでのベンチテストを進めており、年内にはハイブリッドシステムをすべてつなげた状態でのテストも開始するという。それに比べれば、ホンダの開発はやや遅れている。

 しかしそれは、ライバルたちが早々に2026年型の開発を開始したからだ。2022年3月に現行型の開発凍結をした瞬間から2026年型にフルコミットしてきたのに対し、ホンダは2020年10月に撤退発表をしてから2026年参戦が決まった今年4月までは、限られた基礎開発しかできなかった。その不利は間違いなくある。

 だが、第4期のようにまったくのゼロからのスタートではなく、前述のとおり体制面でも開発面でも第4期からの継続性がある。そして2026年まで開発期間もまだ残されている。

「ライバルメーカーは2022年にフリーズされる現行PUのホモロゲーション(認証)を出してから、2026年に向かってまっしぐらのはずですから、その部分の遅れは取り戻さなければいけないと思っています。

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