ホンダがアストンマーティンを相棒に選んだ決め手とは? そのオファー内容は群を抜いていた (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by HRC

F1への想いを熱く語るHRCの渡辺康治社長F1への想いを熱く語るHRCの渡辺康治社長この記事に関連する写真を見る

【群を抜いていたオファー内容】

 ホンダのF1活動母体となるHRCの渡辺社長は、今回の決定についてこう語る。

「今の気持ちとしては、そんなに甘いものではないことは理解していますが、なんとしてでも勝ちたい、新しい電動時代のF1においてもホンダ、HRCが世界でナンバーワンを獲るということを最大の目的としてチャレンジしていきたいと考えています。

 2026年のレギュレーションが大幅に電動化にシフトしていくことで、高性能なモーターとバッテリーの開発が相当必要になってくる。そこに対して、本田技研工業(ホンダ本社)としてもこれが将来のホンダのコア技術のひとつになっていくと考えています。また、F1を通じていろんなバリューを上げ、ブランド価値を高めていきたいとも考えています」

 まだF1復帰など決まっていなかった昨年11月、ホンダはHRCとしてFIAの定める締め切りに合わせて、2026年のPUサプライヤー登録を行なった。参戦するにしても、しないにしても、ここで登録しておかなければ、この瞬間に2026年参戦の可能性はなくなるからだ。

 しかし、事態はここから一気に動き出した。

「去年の11月15日に2026年のパワーユニット製造者登録をして、それをすぐに公表したんですが、その情報を踏まえてほぼすべてのF1チームと何らかのかたちでコンタクトをしました。コンタクトを取っていないのは、フェラーリやメルセデスAMG、アルピーヌといったワークスチームだけです」

 そしてそのなかで、アストンマーティンからのオファーは群を抜いていた。

「勝ちたい」という情熱、それを実現するためならどんな投資もいとわないこと、そして何より勝つためにホンダが必要なんだというリスペクト──。

 年明けからアストンマーティンとの交渉を開始。3月のバーレーンではお互いの条件を提示し合い、合意に達したうえでホンダ本社の承認を得て、4月末にF1参戦が正式決定した。

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