角田裕毅がベルギーで見せた成長と取り戻した自信「プッシュし続けよう!」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ライバルをしっかりと押さえて走る角田裕毅ライバルをしっかりと押さえて走る角田裕毅この記事に関連する写真を見る

【元同僚ガスリーも抜き去った】

 レース序盤から後続勢が続々とピットインしはじめたため、まだタイヤが十分に保たせられていた角田もピットイン。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)にアンダーカットを許すかたちにはなったが、翌周のケメルストレートでアウトから並びかけてオーバーテイクを完了し、ストレートの速いアルボンに抑え込まれるリスクを排除することに成功した。

 そのまま好ペースで走行する角田は、スタートからノンストップで走り続けるピエール・ガスリー(アルピーヌ)に追いついてオーバーテイクを果たした。

「彼にはいつもオーバーテイクされる側でしたけど、今回ようやくオーバーテイクできてよかったです。彼が去年くれた経験と知識に感謝していますし、彼がいなければ今の僕はいなかったので、感慨深かったですね」

 レースは中盤を迎え、23周目にアルボンとガスリーがピットイン。これに対してアルファタウリは24周目に角田をピットインさせ、彼らのアンダーカットを阻止してポジションを守った。

 1ストップ作戦のジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)とランス・ストロール(アストンマーティン)に先行されるのは、マシン性能差を考えれば仕方のないことだが、翌周ピットインしたエステバン・オコン(アルピーヌ)もこの2台のうしろになり、角田は9位でレース終盤戦へと入っていった。

 想定外だったのは、最下位まで後退していたノリスが小雨の降るたった5周の間に1周3〜5秒も速いペースで走り、ここだけで角田と比べて23秒もタイムを稼いだことだ。その後のペースは同等だったが、これで7位まで一気に浮上し逆転されてしまった。しかし、これは苦境のなかで雨という幸運をしっかりと結果につなげたマクラーレンの戦略の巧さであり、自分たちにどうにかできることではない。

 最終スティントになると、後方からはソフトタイヤのオコンが角田より0.4秒速いペースで追いかけてきた。僚友ガスリーとアルボンを抜き、角田の背後へ。ただ、DRS(※)を使われても角田はストレート車速とエネルギー回生量の豊富さ、そしてターン5へのブレーキング時の巧みなポジション取りでオコンを押さえ続けていた。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

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