「ホンダさんとともに戦っていきたい思いもすごくある。でも...」角田裕毅がホンダのF1復帰について語った正直な気持ち (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【モナコは数少ないチャンス】

 今のアロンソにとって大事なのは、何年も先のことよりも、眼前のモナコGPだ。

 なぜなら、通常のサーキットでは届きようがない"勝利"に、このモナコでは手が届くかもしれないから。空気抵抗が弱点のアストンマーティンにとって、それを気にせずウイングを立てることができるモナコは絶好の場所だ。

 シーズン開幕当初からアロンソとアストンマーティンが勝利を狙っていたのが、このモナコGPだったのだ。

「まずは目の前のモナコGPに集中するよ。なぜなら、ここは僕たちにとって今シーズンのなかでも重要なレースだからね。今週末はさらにもう一歩前に進み、もっと大きなものを争えるかもしれないからだ」

 ホンダとのタッグを決めて2026年新時代を見据えるアストンマーティンが、今季の躍進をさらに印象深いものとすべく、このモナコでどんな走りを見せるのか、楽しみだ。

 モナコのサーキットは、マシン性能もさることながら、ドライバーが腕の差を見せることができる場所だ。そういう意味で、アルファタウリのマシンに手を焼き続けてきた角田にとっても、ここは勝負のレースでもある。

「モナコは自信がすべてです。どれだけバリアのギリギリまで攻めて走れるか、コーナーにどれだけスピードをキャリーして飛び込んでいけるか。それが予選アタックをとてつもなく刺激的なものにしてくれます。決勝ではオーバーテイクが難しいので、最も重要なのが予選。レース週末のなかで、ロングランよりも予選に合わせたセットアップを見つけていきたいと思っています」

 イモラで投入する予定だったレッドブル風のくびれが加わったサイドポッドや、完全刷新のフロアなどは、そのままこのモナコに持ち込まれている。特殊なサーキットゆえにその本領発揮は難しいだろうが、ほんのわずかでもプラスにつなげたいというチームの思いも乗せて走ることになる。

 先週のイモラは豪雨に見舞われ、そこからわずか12kmのアルファタウリの本拠地ファエンツァも街のあちこちで冠水被害に遭った。その惨状を目の当たりにした角田は、思わず復旧作業のボランティア活動に加わっていたという。

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