F1へのステップアップは確定? デビューウィンを飾ったリアム・ローソンの実力に2連覇中の王者も「速いよ...」と脱帽 (4ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【過去にない異色のドライバー】

 初優勝から一夜明けた第2戦。ローソンは予選4番手からスタートし、安定した走りを見せてまたも上位争いを展開。今度は3位でチェッカードフラッグを受けた。だが、セーフティカー導入中にピットインする場面で前のクルマとの間隔を必要以上に開けたとして5秒加算のペナルティを受けて、最終結果は5位となった。

 その2週間後、鈴鹿サーキットで行なわれた第3戦では、予選でミスがあって8番手に沈む。しかし、ローソンはスタート直後から激しいドライブで鈴鹿のコーナーを攻め、前方のマシンを次々とオーバーテイク。3周目のシケインでは狭い内側のスペースに飛び込み、王者・野尻をコース上で抜き去る荒技も披露した。

 一時は2位まで順位を上げたが、終盤は展開に恵まれず4位に後退。しかし開幕3戦すべてでポイントを獲得し、首位から7ポイント差のドライバーズランキング3番手につけている。

 ローソンの新人らしからぬ安定感も驚きだが、なにより特筆すべきは、昨年12月のルーキーテストから一度もクラッシュを犯していないという点だ。田中監督によると、今まで来日してきた外国人ドライバーのなかでは「異色のキャラクター」だという。

「彼の印象として、テストの時から『日本人ドライバーのような乗り方をするドライバーだな』と思っていました。多くの外国人ドライバーはまず120%までマシンを攻めて、そこから落としていくようなやり方をしますが、彼は徐々にペースを上げていってクルマを作っていく。日本人ドライバーのようなやり方です。

 とにかく慎重。でも、いざとなったら一発の速さも出す。特に(第1戦の)ピットアウト直後の速さはすごかったですね。今まで我々のチームで走った外国人ドライバーのなかでは異色の存在です」(田中監督)

 新人ローソンの登場により、シリーズ全体の流れが変わりつつあるように感じられた。スーパーフォーミュラからF1へ──。今後もローソンの走りから目が離せない。

プロフィール

  • 吉田知弘

    吉田知弘 (よした・ともひろ)

    モータースポーツジャーナリスト。1984年12月19日生まれ、石川県出身。2011年よりスーパーGT、スーパーフォーミュラなど国内4輪レースを中心に取材。専門誌やweb媒体などで執筆中。日本モータースポーツ記者会所属。

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