亡き監督に捧げる待望のポールトゥウィン...スーパーGTに日産のエースナンバー「23番」が帰ってきた (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【脇役となった屈辱の2022年】

 スーパーGTで過去3度のチャンピオンに輝いている本山哲も、日産で同じ経験を歩んできたドライバーのひとりだ。

 2008年、本山はR35型GT-Rを23号車で戦い、デビューイヤーでチャンピオンを獲得。のちにその当時のことを「あの重圧はすごいものがあった」と語るほど、日産のエースナンバーの重みを感じたという。

 日産は昨シーズン、長年ベース車両として使用してきたR35型GT-Rから新型Zにスイッチした。松田/クインタレッリ組にかかったプレッシャーは計り知れないものがあっただろう。

 しかし、昨シーズンの最上位は2位。全8戦のうち4戦がノーポイントで終わるという結果で、ドライバーズランキングも7位で幕を下ろした。

 対して、ほかの日産勢は結果を残した。23号車と同じニスモがマシンメンテナンスをする3号車(CRAFTSPORTS MOTUL Z/2023年はNiterra MOTUL Z)はシーズン2勝をマークし、12号車(カルソニック IMPUL Z/2023年はナンバー1 のMARELLI IMPUL Z)はシリーズチャンピオンを獲得。日産勢のなかで23号車は完全に脇役に立たされてしまった。

 今年3月の公式テストでも、日産勢は1号車や3号車が好調ではないかと伝えられていた。23号車は名誉回復を図ろうとするも、雨模様となった富士の公式テストでクラッシュ。マシンにダメージを負ってしまい、直前まで修復作業に追われながら開幕戦を迎えることになった。

 そんなプレッシャーと戦いながら、23号車のエースドライバーは勝利をもぎとったのだ。

「ポールポジションを獲ってからの流れをしっかりと優勝まで導くことができた。もう変なプレッシャーもなくなったので、これからも勝利を重ねて最終戦で23号車がチャンピオンを獲れるように頑張っていきたい」(松田)

「ほぼ1年半ぶりの優勝ですかね? 岡山の開幕戦でポールトゥウィンができて、とにかくうれしいです。NISMOのスタッフ、ミシュランの皆さんに感謝しています」(クインタレッリ)

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