F1勢力図2023を開幕3戦から分析「レッドブル23戦全勝の恐れ」「フェラーリは速さが足りない」「アルファタウリは最下位マシン」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【最高速の差が縮まった理由】

 第3戦オーストラリアGPでは、10周目のリスタート直後にマックス・フェルスタッペンがルイス・ハミルトンを驚異的な速度差で抜いていった。あれはハードタイヤが温まりきる前に抜いておかなければ、その後でのオーバーテイクが難しくなるからだ。

 ハミルトンはタイヤを傷めないようにペースを抑えて走っており、チームからもフェルスタッペンと争わず先行させろとの指示が飛んでいた。だが、フェルスタッペンはタイヤの寿命を縮めるリスク承知で抜き、セクター3だけで2秒も速いペースで走っていた。

 タイヤが同条件になれば、最高速が3km/h程度しか違わないメルセデスAMGを抜くのは容易ではない──。そのことをフェルスタッペンは知っていたからだ。

 レースペースの差についても、オーストラリアGPではタイヤを保たせるために、各車がほぼ同じペースで走るという展開になった。だが、第2戦サウジアラビアGPではレッドブル勢同士の戦いでフルプッシュ合戦となり、本来の速さを見ることができた。

 それに対し、ライバル勢は1.2秒も遅いペースだったが、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソはレッドブルと争うことは考えず、表彰台確保の走りに切り替えた。トップとの1.2秒差が本来の実力差だとは言えない。事実、レース序盤のアロンソはセルジオ・ペレスの0.5秒後方で同等のペースを刻み続けている。

 これらの状況を総合すれば、レッドブルがオールラウンダーな速さを持っていることは確かだが、そのアドバンテージは見た目ほど大きくないこともわかる。

 メルセデスAMGは新車W14の開発目標を低く設定してしまったことが発覚し、開幕当初のパフォーマンスは低かった。車高を下げすぎてバウンシング問題に苦しんだ昨年型の反動として、車高を高くしすぎたことが主たる原因だったという。

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