MotoGP開幕戦「欧州vs日本」の格差は歴然...ホンダのポテンシャルは6度王者のマルケスが無理して転倒するほど (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Nishimura Akira, ©Ducati, ©Michelin

【ヤマハはトップから8.5秒遅れ】

 このスプリントレースで勝利を収めたのはバニャイア。速さと強さと巧さが三位一体になった走りで、とにかく隙のない安定感が際立った。

 まったく危なげのないバニャイアの走りは日曜午後の決勝レースでも同様で、2番手のマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)が最後まで僅差で追走したものの、接戦のバトルに持ち込まれるような隙を見せることもなく、トップでチェッカーフラッグを受けた。

 レースを終えたバニャイアは「最後はタイヤが消耗しきっていた」と述べはしたものの、完璧な内容で勝てた週末を満足げな様子で振り返った。

「2023年モデルのバイクは、前年型よりも自分のライディングスタイルにとてもよく合っている。(開発やバイクの煮詰めも)いい方向に進んでいる。次戦からは、プレシーズンテストで走行していないコースで新フォーマットのレースを戦うことになる。そこでどれだけの違いが出るのかを見極めたい」

表彰台に立ったのは、左からビニャーレス、バニャイア、ベツェッキ表彰台に立ったのは、左からビニャーレス、バニャイア、ベツェッキこの記事に関連する写真を見る 2位に入ったビニャーレスも、最後までバニャイアに食らいついていいレースをできた、と述べた。

「ペコ(バニャイアの愛称)の背後で気持ちよく走りながら、序盤から後続を引き離すことができた。10周目にペコがさらにペースを上げたとき、ついていこうとして少しミスをしたので、落ち着くことを心がけ、終盤に備えてタイヤを温存しようと考えた。仕掛けようとしたけれどもペコは実にスマートな走りだった。今日のレースはトップ争いをできたのでよかった」

 ビニャーレス自身の満足感と同時に、バニャイアの隙のなさもよくうかがえるコメントだ。

 3位は最高峰クラス2年目のマルコ・ベツェッキ(Mooney VR46 Racing Team/Ducati)。ベツェッキは2022年モデルのマシンだが、それでこの好成績という事実に、現在のドゥカティの高い水準がよくあらわれている。

 実際に4位以下はドゥカティ、ドゥカティ、KTM、KTMと続き、ようやく8位に入ったヤマハのファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)は優勝したバニャイアから8.5秒遅れ。クアルタラロは週末を通してトップ争いに手が届かず、開幕前には改善傾向の見えたヤマハだったが、レースウィークの本番で苦況が改めて浮き彫りになった格好だ。

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