ホンダの名車「NSX」は2023年で見納め...有終の美を飾って「シビック」にスーパーGTタイトルを継承できるか (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

【NSXで優勝争いできるとは...】

 2代目のNSXがスーパーGTに登場したのは2014年。当初は市販車のコンセプトバージョンをベースにした「NSX CONCEPT-GT」としてGT500クラスにデビューした。その後、2017年から「NSX-GT」として参戦し、昨シーズンからタイプS仕様の変更が施されている。

「NSX-GTにかけた努力は、かなりのものがありましたね」と語るのは、スーパーGTのホンダ陣営ラージプロジェクトリーダーを務める佐伯昌浩。2017年に就任して今年で7年目。「全然気にしていなかったけど、そんなに長い間(NSXを)やっているのか」と本人も驚いた様子だ。

 スーパーGTのGT500クラスは、2014年から原則として「コックピットの前方にエンジンを搭載しなければならない」ことになっていた。だが、NSXはベース車両最大の特徴でもあるミッドシップレイアウトを採用していたため、その差を埋めるためにサクセスウェイトとは別のハンデウェイトを積むという条件で参戦が認められていた。

「FRがベースの規則になっているなか、ハンデを背負ってミッドシップで参戦する形でしたので、『このハンデが正しいのかどうか?』という議論もありました。しかし参戦する以上、その状況でチャンピオンを獲りにいかなければならない。そこに対して『空力はどうする?』『エンジンはどうする?』という課題の解決には相当努力しました」

 NSX-GTで戦ってきたドライバーたちにとっても、このマシンには相当な思い入れがある。2014年のNSX CONCEPT-GTから開発ドライバーとしても貢献してきた山本尚貴も、NSXには語り尽くせないほどの思い出がある。

「振り返ると『大変だったなぁ』という感じです。特にNSX CONCEPT-GTの頃はハイブリッドシステムを搭載していたので、ほかのメーカーとは違う開発をしなければいけなかったし、そのなかでレースを戦わなければいけなかった。

 当時は伊沢選手と僕とで開発ドライバーをやらせてもらい、苦労もいっぱいしてきました。あれから9年くらい経ちましたが、あの時は『トップ争いやチャンピオン争いができる』とは想像できないくらい、正直かなり大変でした」

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