フェラーリ陣営「レッドブルの後塵を拝している」は本当か? 角田裕毅の調子は? F1開幕直前ライバル同士は「実力を見せず」腹の探り合い (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【トップタイムはレッドブル】

 そして、多くのチームが2023年型ピレリタイヤの挙動に戸惑ったのに対し、レッドブルは早々にセットアップをまとめ使いこなしてきた。

 昨年のアンダーステアを改善すべく、フロントタイヤの強度とグリップレベルを上げてきた2023年型のピレリタイヤは、その反動としてリアが不安定になったマシンが多かった。メルセデスAMGは、特にこの傾向に苦しんでいた。

 しかし、レッドブルは初日の午前こそリアのスナッピーさを訴えていたものの、その挙動はすぐにスムーズなものとなって、初日からトップタイムを記録してみせた。

 セルジオ・ペレスは最終日にC4タイヤでアタックし、メルセデスAMGに0.359秒差をつけた。タイヤ差を考慮すれば、実質的に0.7秒以上の差だ。また2日目には、決勝と同じ57周を通して走行するフルレースシミュレーションも行なった。

 マックス・フェルスタッペンは初日と2日目の午後に走行。C4やC5といった柔らかいタイヤは使用せず、来週のバーレーンGPのソフトタイヤでありシーズンを通して最も使用される機会の多いC3タイヤを履いて、徹底的にテストを重ねた。

 この開幕前テストにおいて、質・量ともに最も充実していたチームのひとつがレッドブルであったことは間違いない。

 一方、昨年ランキング2位に終わったフェラーリはタイム的に目立ったところがなかった。レッドブルと同じC4タイヤでアタックも行なっているが0.7秒差と、つまりメルセデスAMGと同じような立ち位置だった。

 もちろんテストでは予選本番とは違い、燃料を多めに搭載して実力は見せない。燃料が10kg重ければ0.3秒遅くなるのだから、アタックラップタイムの比較は無意味だ。

 しかし、フェラーリ陣営は「現時点ではレッドブルの後塵を拝している」と認めている。

「もし現時点でドライバーたちが満足していたら、それは失敗だ。ドライバーたちは常にさらなるグリップを求めるものだし、予選本番までは限界までプッシュしない。

 我々はテストで広範囲のプログラムをこなし、いい仕事ができたと考えている。燃料搭載量やエンジンモードなど、ライバルたちのやっている内容もわからないし、まだ予想をするのは難しいよ」(フレデリック・バスール代表)

 ただ、フェラーリはストレートが圧倒的に速く、昨年の"直線番長"であったレッドブルをさらに5km/hほど上回る。ラップタイムは伸びていないが、ストレートが速いというこのマシン特性が実戦、特に決勝で勢力図にどのような変化をもたらすのか、非常に興味深いところだ。

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