岩佐歩夢のレース歴は驚愕「まだ3年」。レッドブルの英才教育で「F1に上がった瞬間から戦えるドライバーになる」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【F2初年度でランキング5位】

 周りのドライバーからは「そんなの、やりすぎでしょ」と驚かれたというが、岩佐にとっては当たり前のことで、特別な努力だとも思っていない。チームのエンジニアたちも、またそこに喜びを見出すと同時に、岩佐に対する全幅の信頼が感じられるとてもいい雰囲気が端々から伝わってきた。

「いろいろと取り組んだことが結果に結びつくのが、これだけうれしいことなんだというのに気づけて、だからこそエンジニアも僕も『もっともっと頑張ろう』っていうスタンスになりました。どんなに細かいことでもとにかくやってトライしてみて、結果を見るのが大事だなということに気づけた1年でした。自分の今後のレース人生にとっても大きかったと思います。

 レースをやっていれば絶対に限界はないと思いますし、ドライビングにしても完璧に近いところまではいったとしても『完璧なラップ』というのはほとんどないはずなので、それをどこまで完璧に近いところまで詰められるのか。そういうのがすごく勉強になったシーズンでした」

 2022シーズンの前半戦は、セッティングの熟成やチームのピットストップや戦略のミス、岩佐自身のミスなどで、なかなか結果につながらないレースが続いた。しかし7月のフランスで初優勝を挙げ、次のハンガリーではポールポジションを獲得。後半戦は常にトップ争いを繰り広げるようになった。

 最終戦アブダビではポールトゥウィンで勝ち、イタリアでの不運な失格(車両規定違反)で3位表彰台を失っていなければランキング3位でシーズンを終えて、F1のスーパーライセンスも手にしていたほどの走りを見せた(最終結果はランキング5位)。

 理論だけの頭でっかちでなく、理論をコース上で走りに結びつける腕もしっかりとある。背後からのプレッシャーに負けず、勝利をもぎ取る精神的な強さもある。

 それでも岩佐は「十分ではない」と自分に厳しい。ポールを獲った時でも優勝した時でも、結果に満足するのではなく課題に目を向ける。これはF1のトップドライバーたちに共通するスタンスで、だからこそ彼らは成長し続けていけるのだ。

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