角田裕毅が移籍するガスリーに感謝の言葉。「彼がいなければ、ここまで成長できなかった」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

12〜13kg重いクルマに苦戦

 アルファタウリAT03は、シーズンを通して空力性能不足に悩まされてきた。

 開幕戦の時点でダウンフォースが足りていないことは明らかだったが、細かなアップデートを断続的に投入するよりも大きなアップデートを投入し、確実に成功させるというアルファタウリの開発方針は、結果としてライバルたちに後れを取ることにつながった。開発が進まない間、性能の劣ったマシンで戦い続けなければならなかったからだ。

「今年はマシン開発競争のシーズンになると思っていたから、スタート地点は重要ではなくて、その後のマシン開発をいかに進められるかが勝負のカギになると思っていた。でも残念ながら、僕らはそれをうまくやり遂げることができなかった」

 そう語るピエール・ガスリーは、問題は空力面だけではなかったことを明かした。

 AT03は798kgの最低重量を大幅に超過しており、常にそのハンディを背負って戦わなければならなかったという。

「シーズンを通してずっと、僕らはアルファロメオよりも12〜13kg重いクルマで戦わなければならなかった。重量削減をまったく進めることができなかったんだ。これはつまり、1周あたり0.35秒くらいに相当する。0.1〜0.2秒差でQ3進出を逃した回数は10回くらいあったと思うし、この重量をずっと背負ってレースをするのは、重いバックパックを背負って走っているようなものだよ」

 それに加えて、タイヤの問題もあった。

 タイヤのデグラデーション(性能低下)が予想以上に激しかった今年のアブダビで、ライバルたちが2ストップ作戦を念頭にハードやミディアムを多く残していたなか、アルファタウリはハードとミディアムを1セットずつしか残しておらず、2ストップ作戦を採る場合は性能低下の激しいソフトを履かざるを得ない状況に追い込まれていた。決勝の戦略ミスと言うよりは、レース週末全体の戦略ミスだ。

 残念ながらこれは、今シーズン何度かアルファタウリが犯してきたミスの繰り返しだ。

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