角田裕毅、怒りの接触リタイアは避けられた事故だったのか。「あんな小さいコーナーで入ってくるとは...」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

リカルドの主張はいかに?

 F1のスチュワードは、2台の位置関係をアプローチの瞬間、そしてエイペックスで見て判断を下す。アプローチからエイペックスの時点で、フロントウイングが前走車のフロントタイヤよりも前にいなければ、"勝負権"はなく引かなければならない。逆にそこまで並んでいれば、お互いに相手に1台分のスペースを残す必要がある。それができていなければ、ペナルティが科される。

 今回のリカルドの場合は、この基準に照らし合わせれば勝負権がなく、事故の責任が全面的にあるというスチュワードの判断は前例に従った妥当なものだ。たとえば昨年のサンパウロGPでランス・ストロール(アストンマーティン)にやや遅れて飛び込んで追突した角田にも、同じように10秒加算ペナルティが科されている。

 角田はターン6へ向けてアプローチする瞬間、まだリアウイングの後方にいたリカルドがインに飛び込んでこないと思った。すでにその前のターン4で攻防を繰り広げており、彼にソフトタイヤの威力があることもわかっていたが、それだけにこんなところで無理にオーバーテイクを仕掛ける必要もなかったからだ。

「彼のフロントウイングが本当に軽くリアウイングの横に並んでいるくらいでしかなかったので、あんなに小さいコーナーで入ってくるとはという感じですね」

 ルール上は角田の言うとおりで、角田にはまったく非はなかった。

 ただし、リカルドは追い抜きを仕掛けたのではなく、イン側で2台並んでコーナーを抜けようとしていた。

「あまり知られていないと思うけど、あそこはとてもダスティでイン側のほうがグリップが高く、アウト側の汚れた路面に彼を留めておけるんじゃないかと思ったんだ。そうすれば、次の立ち上がりは僕のほうが有利になるからね」

 ターン4でブロックラインを取ってターン5の立ち上がりが苦しくなった角田に対し、リカルドはレーシングライン上から立ち上がり重視の切り返しでターン5を抜けてきていた。

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