F1連覇でフェルスタッペンはホンダに感謝。角田裕毅は鈴鹿での3日間で大きく成長した (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

国歌斉唱にグッときた角田

 F1ドライバーとして初めての日本GPとなった角田裕毅は、予選13位、決勝ではスタートで9位に浮上したものの、最終的には13位でのフィニッシュとなった。

 角田としては、マシンの持つポテンシャルを出しきり、自分にやれることはすべてやったからこそ「8点」だと振り返った。

「ポイント獲得で終えることができなかったのは本当に残念ですね。あれだけの応援をもらったからこそ、そのぶん悔しさが増しますね。でも完走をして、いくつかいいオーバーテイクを見せられたので、そこはよかったかなと思います。あんなに大勢のお客さんに囲まれて、あんなに歓声が上がる体験っていうのは人生で一度もなかったので、本当にみなさんのおかげで楽しむことができましたし、感謝しています」

 この1週間で、角田は大きく成長したように感じられた。

 ドライバーとしての成長というよりも、人としての成長。これだけ多くの声援を受け、その人気を背負っていること、そして日本におけるF1人気の根底になる部分を背負っていること......そんな自覚と行動が芽生えたことが、ひしひしと感じられた。

 スタート前に岸田文雄首相列席の下で、水樹奈々さんによる君が代の独唱が行なわれた。

「(スタート前に)プレッシャーはなかったですし、いつもどおりの感じでしたね。逆に楽しみな気持ちのほうが大きかったですし、プレッシャーは全然感じませんでした。目の前で国歌が流れたり、総理大臣と握手をしたり、日本人として光栄なことを体験できましたし、そのおかげで力強い気持ちで臨むことができました。国歌独唱を聴いてグッとくるものがありましたし、忘れられない光景でしたね」

 この3日間、角田はそれほどプレッシャーを感じているようには見えなかった。リラックスして、F1マシンでドライブする鈴鹿を、そして満員のスタンドからの声援を楽しんでいるように見えた。

「(最初の)スタートの蹴り出しがよかったので、そこで何台かオーバーテイクできたのはよかったですけど、スタートしたあとは前が見えなくなるのがわかっていたので、スタートくらいしかやれることはなかったですし、スタートは本当に集中しました。

 スタート直後はかなり水しぶきが上がっていて、正直言って前がまったく見えませんでした。コーナリングで曲がるのも、どのくらい前にクルマがいるのかも、勘で走っていたので、あれはレースができる状況ではなかったですね」

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