日本GPで年間王者が決まる条件は2つ。フェルスタッペンの優勝は必須、もうひとつ鈴鹿で達成すべき項目とは? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

角田の日本凱旋に希望は?

 レースペース不足という根本的な問題が解決しなければ、フェラーリが再び表彰台の頂点に立つことは難しいだろう。レースペースと戦略に長けたレッドブルがライバルだけに、それはなおさらだ。

 次戦の日本GPでは、マックス・フェルスタッペンが優勝してファステストラップを記録すれば、年間王者のタイトル獲得が決まる。フェラーリがそれを阻止することができるのかと言えば、今のままでは難しいと言わざるを得ないだろう。

 一方、日本GPに向けて弾みをつけたかった角田裕毅は、セミウエットの予選でQ3進出を果たし手応えを感じさせた。アルファタウリが残り6戦に向けて投入した新型フロントウイングもうまく機能し、より中高速コーナーが多い鈴鹿ではさらなる効果を発揮するはずだ。

 だが、決勝では痛恨のクラッシュ。

 ペレスも苦労したと述懐したスリックタイヤへの交換が、アルファタウリ勢はペレスより2周も早かった。その結果、タイヤに熱が入らずにインターミディエイトより2秒も遅いペースでしか走ることができず、1〜2周後にピットインしたアストンマーティン勢にオーバーカットを許してしまった。

日本GPを前に結果を残せなかった角田裕毅日本GPを前に結果を残せなかった角田裕毅この記事に関連する写真を見る つまり、戦略は失敗だった。

 そんな温まらないタイヤで、角田はターン10のブレーキングポイントを見失ってブレーキングが遅れた。とてもコーナーを曲がりきれないスピードで飛び込んで、バリアにまっすぐぶつかる以外にできることは何もなかった。

「単純に自分のミスです。ターン10のブレーキングポイントを見誤ってしまって、間違ったところでブレーキングしてしまったので、本来よりもかなり高いスピードでコーナーに飛び込んでしまいました。それでまっすぐバリアに突っ込んでしまったかたちです。完全に僕のミスですし、言い訳はありません。自分自身に腹が立っています」

 角田はそう言いきったが、シンガポール初体験の角田が夜の時間帯にドライコンディションで走行できたのはFP2の30分間のみ。マシントラブルのため、ソフトタイヤでのアタックもロングランもできなかった。そして土曜日は雨だった。

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