日本GPで年間王者が決まる条件は2つ。フェルスタッペンの優勝は必須、もうひとつ鈴鹿で達成すべき項目とは? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

フェラーリは手も足も出ず...

 2度にわたるセーフティカー先導中、ペレスは規定の「10車身以内」から外れてしまった。それを2度も犯してしまったため、5秒加算ペナルティを科される可能性が出てきた。そのリスクに備えるため、チームは2位ルクレールを5秒以上引き離すようペレスに指示をし、残り数周でペレスは3.4秒、4.2秒、5.1秒、7.3秒とギャップを広げて、最後は7.595秒差でチェッカードフラッグを受けた。

 レースご審議の結果、やはり5秒加算ペナルティが科されたものの、ペレスの勝利は揺るがなかった。

「最後は本当に緊迫した状況のなかでプッシュして、これ以上速く走れないだろうと思っていたけど、それを引き出すことができた。何が審議の対象になったのかわからないけど、とにかくペナルティの可能性があるからギャップを広げろと言われて、そのとおりにしたんだ。全力を出しきり、そしてこの勝利を掴み獲った。僕のベストパフォーマンスだと思う」

 フェラーリは予選で最速だったものの、決勝でスタート先行を許したあとは手も足も出なかった。一時はペレスに猛攻を仕掛けたルクレールだったが、やがてタイヤのデグラデーション(性能低下)が進んで置いていかれてしまった。

「ペースはすごくよかった。でも、不運なことにスタートがよくなくて、そこから後手後手に回ってしまった。チェコ(ペレス)にプレッシャーをかけていったけど、タイヤがあっという間にオーバーヒートしてしまい、ペースを落とさざるを得なかったんだ」(ルクレール)

 夏休み前のハンガリーGP以降、フェラーリはレースペース不足に苦しんできた。戦略やピットストップのミスは目立っていたが、前戦イタリアGPと同様に大きなミスもないのに勝てなかった。ただ、レース運営でミスがなかったのはチームとしての進化だと、ルクレールは言う。

「ここ数戦で課題となっていたレース運用という意味では、戦略としては正しい決断を下したと思うし、前進が果たせたと思う。さらにもう一歩前進が必要だけど、正しい方向に進んでいることはたしかだ。2位には満足していないけど、そのことには満足しているよ」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る