フェラーリのストレートは遅くても勝機はある。超高速モンツァでレッドブルに一矢報いるセッティングは? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ストップ&ゴーのモンツァ

 ハッキリ言って、超高速で全開率が75%を超えるようなモンツァは、フェラーリにとって厳しいサーキットだ。というよりも、スパ・フランコルシャンがそうであったように、空気抵抗が小さくストレート最高速が伸びるレッドブルが圧倒的な速さを発揮する可能性が高い。論理的に考えれば、そう予想するのが当然だ。

「僕らはコーナーでは少し速いけど、ストレートラインではレッドブルのほうが速い。彼らはとても空力効率の高いマシンだ。彼らがストレートで稼ぐ分を取り戻すには、モンツァではコーナーの数が足りない」

 ベルギーGPでレッドブルが圧倒的な速さを見せただけに、モンツァでもその勢力図は変わらないというのが大方の予想だ。

「計算上はコース特性が僕らのマシンとは合わなくてレッドブルのほうが速そうだし、少し厳しいレース週末になると思う。でも、今年はいいサプライズも悪いサプライズもいくつもあった。だから今週がいいサプライズになればと思っているし、僕らの予想を上回るパフォーマンスが発揮できればと」

 モンツァはストレートが長く、全開率も高い。

 2022年型マシンは、コーナリングスピードが落ちてコーナーでマシンの向きが変わるのを待つようなかたちになるため、どんなサーキットでも全体的に全開率は下がる傾向にある。しかしモンツァは、もともとがストレート主体でストップ&ゴー。そのため、全開率はそれほど変わらないのではないかと見られている。

 残る4つのコーナーはいずれも200km/h超えであり、フェラーリが得意とする高速のコーナリング性能が問われる。コーナーの数は少なくともここで大きく稼ぐことができれば、ルクレールの言うようにストレートでのロスをコーナーで取り返すことができるかもしれない。

 レッドブルやマクラーレンがここを得意としてきたのは、ストレートの速さによってではなく、ダウンフォースをつけてコーナー重視のアプローチを採ったからだった。かつてマクラーレンがしなやかな脚回りで縁石の乗り越えをスムーズに決めてタイムを稼いだように、今のフェラーリは非常に柔らかなリアサスペンションを持っている。今年のフェラーリにそれができないと決めつけることはできない。

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